多くの男女の共感を呼んでいるドラマ「こっち向いてよ向井くん」(日本テレビ系)。大きく物語が動く5話(8月9日放送)を前に、原作者のねむようこにインタビュー。原作者から見たドラマや登場人物の魅力、楽しみ方について語ってもらった。
――ご自身の作品が映像化されたご感想を教えてください。
登場人物が実際にしゃべったり、動いたりするのは独特の生々しさやエネルギーがあって、漫画とは違う表現方法ができる媒体なのだなと改めて思いました。この物語をより身近に、より自分の物語として捉えられるような気がしています。
――向井くんを演じる赤楚衛二さんの印象は?
赤楚さんとお会いしたのですが、本当に好青年で、優しくて気遣いができて、キラキラしていて。「向井くんはもっとしょんぼりしているけど大丈夫かな?」と思ったのですが、しょんぼり演技もお上手でお見事でした。一緒にお写真を撮っていただいたのですが、セルフ「こっち向いてよ」ポーズをしてくださいました。
――実際に撮影現場も見学されたとか。
元気(岡山天音)の「パイレオ」というスパイス&バーのセットでの向井くん、洸稀ちゃん(波瑠)、元気、アンちゃん(久間田琳加)のシーンを見学しました。自分が作り出したキャラクターを、いつもテレビで見ている人たちが演じてくれていて。私が描いたキャラクターが体を得たようで、すごく面白くて不思議な感覚でした。
――これまでの放送を振り返って、ドラマ版でお好きなシーンや驚いたシーンはありますか?
4話(8月2日放送)にも出てきたバレーのシーンや2話(7月19日放送)のピエロのシーンなど、向井くんが妄想していたことをこんなにも面白おかしくドラマでも描いてもらえるのかと驚きました。
――この作品にはいろいろな恋愛観を持つ女性たちが登場します。お好きなキャラクター、共感できるキャラクターはいますか?
私はアンちゃんが好きです。恋愛が好きで、“恋愛を楽しむ”というタイプの人。私とは違う価値観を持っていますが、それはそれで楽しそうだし、足取りが軽やかなのが爽やかでいいなと思って見ています。共感するキャラクターは麻美ですね。結婚という制度の中でもがいている姿に、とても共感します。
――藤原さくらさんが演じる麻美、久間田琳加さんが演じるアンをドラマで見た感想は?
お二人とも本当にお上手で、魅力的だなと思います。久間田さんのアンちゃんはかわい過ぎて、画面を見てびっくりしました。「なんで向井くんは好きにならないんだろう?」って思ったほどです(笑)。藤原さんはお顔が赤ちゃんみたいにかわいらしいのに声がハスキーで、そのギャップも麻美と合っていていいなと思います。
――実写になり、「より魅力的になったな」と思うキャラクターはいますか?
麻美は本当に漫画の麻美そのものでしたし、もっと魅力が増えているなと。それから、向井くんと麻美のお母さん(財前直見)もすごく魅力的になりました。麻美とお母さんのやりとりが、家族としてすごくすてきだなと思えます。あとは洸稀ですね。1話(7月12日放送)のメロンパンを渡すシーンは、脚本で拝見した時はちょっと高圧的に見えるんじゃないかなと心配でした。でも、波瑠さんが演じた洸稀はとっても自然で嫌味がなくて、すごくすてきでした。今は、波瑠さんが演じてくれる凛とした洸稀を見るのが毎週の楽しみです。
――女性の共感を得るセリフが多くありますが、どのような経緯で洸稀や麻美のような女性を描こうと思ったのですか?
今まで生きてきた中でたまっていたモヤモヤをここで発散したいという思いが少しあって。自分だけでなく、友人や知人たちが持っているモヤモヤや怒りも源になっています。
――ドラマ後半に向けて、楽しみにしていることは?
洸稀ちゃんと環田さん(市原隼人)の関係、どうなっていくのだろうって思っています。私自身、まだ漫画の中で悩みつつ描いているところで。それから、向井くんがドラマの中でどういう形の幸せをつかんでいくのか、幸せのしっぽでもつかめるのか、というところも楽しみにしています。
――回想で登場していた向井くんの忘れられない元カノ・美和子(生田絵梨花)もいよいよ登場しますが、生田さんに期待されていることはありますか?
あんなにかわいい元カノがいたら、向井くんも大変だろうなと思っています(笑)。生田さんにもお会いしたのですが、すごくすてきな方で。きっと回想の中の美和子と、久しぶりに会った実際の美和子のギャップを演じ分けていただけると思うので、そこは楽しみに見たいなと思っています。美和子が向井くんと会って、一もんちゃくあるシーンも楽しみにしています。
――ドラマを見て、原作を読む方も多くいらっしゃるかと思いますが、ドラマと原作を両方楽しめるお薦めの方法は?
ドラマに合わせて、その部分を読み進めていくのが楽しいと思います。でも、私は漫画の内容を知っているのにハラハラドキドキするので、意外と漫画を全部読んでからドラマを見ても楽しめるんじゃないかなと思います。
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