「変身」や「審判」を生んだ小説家、フランツ・カフカが2019年の東京で生活し、日々の出来事に傷つき、打ちのめされ、やがては絶望していく姿をコミカルに描いていくドラマ「カフカの東京絶望日記」が9月12日(木)よりMBSドラマ特区で放送開始。
今年4月にYoutubeで1話が配信された本作が地上波で放送されることとなり、主演を務める鈴木拡樹に、カフカを演じることへの思いや、俳優として作品や役に挑む気持ちを聞いた。
――今回カフカを演じるにあたり、どのような役作りをしましたか?
カフカさんが東京に来るっていう設定は僕自身すごく面白いなと思いました。ただ、伝わりやすくするためにカフカも日本語を流暢にしゃべります(笑)。そういう状態で生きているので、果たして彼が国外から来たっていう感覚はちゃんと伝わっているのかなっていうのは不思議なところではあります(笑)。
――このドラマでカフカはどう深掘りされますか?
本作で描いているカフカさんは、彼の作品やお手紙として残っているものなどから、1つ1つのエピソードを作っていっているんです。僕自身、インターネットでカフカさんってどういう人なんだろうって調べた時に出てきた面白エピソードもあって。そういうものが一つ一つのタイトルのキーになっていたりとかするんですよ。僕は彼について事前に調べていたので、演じながら「あ、このエピソードだ!」ってわかって、そういう楽しみ方もできました。調べてみるといろいろわかることもあると思いますので、そういうところも楽しんでもらえたらうれしいですね。
――カフカについてお調べになった中で、ここがすごいなと思った部分は?
これは本編のエピソードには出ていないものなんですけど、安全ヘルメットっていうのはもしかしたらカフカさんが作ったかもしれないというお話があって。何かの工場見学の時に、不安過ぎて軍用のヘルメットを被って行ったらしいんですよ。それがきっかけで、安全ヘルメットを作ったのかもしれないって。今後もしまたカフカを描ける機会があるのだとしたら、個人的にはその安全ヘルメットのエピソードをやってほしいな(笑)。ある意味大発明ですからね。たくさんの人の命を救っていますから。
――視聴者の方も、カフカについて調べながらドラマを見たらより一層楽しめそうですね。
そういう楽しみ方があるなと思います! 今回僕が演じたカフカさんは、実在するカフカさんと比べると、とても誇張したような作り方になっていますが…(笑)。カフカさんの持つエピソードを広げていくっていう作り方をしているので、完璧にカフカさんってああいう人なのかっていうとそうではないんです。彼が書いた手紙を読んでみると、読み手を楽しませようっていうエンターテインメント性を持っている方なのかなって僕は受け取ったんですよ。そういう、自分をさげすむような言い方をして人を楽しませようっていうエンターテインメント性もあったのかなって感じたからこそ、より誇張して広げて、カフカさんのイメージ像を楽しく表現した作りになっています。
――そんなカフカに共感する部分は?
似ている部分は多いと思いますね。さすがに劇中のカフカさんほど人間関係難しくはないですが、すごくわかる部分があったんです。だから広げやすくはありました。ただ、カフカさんの持っているエンターテインメント性を、どういうふうに愛を持って広げていくべきなのかなっていうことはすごく考えました。やっぱりこの作品をお届けする上で大切にしたいのは、皆さんにカフカが絶望する姿を見ていただき、その中で希望を感じる人達がいることを感じてもらいたいんですね。それがコンセプトでもあるので。カフカさんがただ絶望を叫んでいるようにも感じますけど、それをきっかけに人が立ち直る瞬間っていうのをすごく大事に描こうとしていて。そこが一番難しかった点でもありますけど、マイナスなことを言っているものが周りにとってプラスに変わるっていうところは、考えながら演じさせてもらいました。そういう意味では、僕もマイナスな思考も持ってはいるんですけど、どちらかというとプラス思考の方が強いようにも感じて。マイナスなことも前提に考えているけど、プラスにするために動こうっていう。もともとの性格…根がそうなのかもしれないんですけど、何か目標に向かっていることが好きなんです。マイナスなイメージがあったとしても、じゃあそれをどうやってプラスにしようかって考えるタイプの人間ではあります。
――カフカの他にも、強烈なキャラクターがたくさんいる作品ですが、鈴木さんがお気に入りのキャラクターは?
気になるのはアパートの大家・矢場さん。焼き芋の中に毒を入れている噂がありますが、アレは事実なのかどうか…。毎回カフカさんはその焼き芋を渡されてしまうので。気にはなりますよね(笑)。
――1話を見て、食べちゃうんだ!って驚きました。