[小日向文世コメント]
この作品、タイトルからしてアンナを中心とした話かと思いきや、実はアンナを巡る世代が違う3組の物語が同時進行していくんです。フィリップの台本はその展開をとても分かりやすく描いていて、こうした男と女のドロドロしたお話、俯瞰(ふかん)すると哀れで滑稽で笑っちゃうんだけど、いとおしくなりますね。フィリップは登場人物をフルに使っていろんな光景を生み出し、飽きさせない。その盛りだくさんの見せ方はさすがだなと。さらに、常に生音があって出演者がハミングしたりと、非常にエンターテインメントな舞台が作られています。最後まで離婚を認めなかったカレーニンは、本当に彼女を愛していたのか、それとも意地があったのか。僕は何か別の思いがあったのだと感じていて。男と女が出会って、恋をして、その後のことはやっぱり難しくて、だからこそ面白い。本当の幸福というものは、非常にささやかで、お互いの信頼関係があって成立するということをフィリップは言いたいのだろうなと思っています。
公演は3月19日(日)まで同所にて。3月25日(土)~27日(月)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて。
撮影◎細野晋司
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