ドラマ

蓮佛美沙子「連続ドラマW 鵜頭川村事件」インタビュー

――そんな松田さんの印象はいかがでしたか?

龍平さんはご一緒するまでは寡黙な方だと思っていました。それに、作品を拝見していてもとにかく唯一無二の独特の存在感がある方だなと。そこはこの作品でも変わらずだったんですけど、実際にお会いしてみたら想像の2倍はしゃべる人でした。芝居の相談とかはほぼなく、本当にたわいない話をずっとしてましたね。軽やかな面白い人という印象です。

――こちらも初のタッグとなる入江監督の印象は?

入江さんはお会いするまで怖いのかなと思ってたんですけど、とっても気さくな方で。ほとんど世間話しかしてないんじゃないかな? 「ここのごはん屋さんがおいしかった」とか「昔こういう役されてましたよね?」とか。言葉数が多い方ではないですけど、かわいらしい、話しやすい方だなという印象でした。役の話は現場でちょこっとするぐらいでしたね。

――役について具体的にはどんなお話を?

基本的に自由にさせていただいたんですけど、クランクイン初日に有美を演じるに当たって目にどのくらい魂を宿すかという打ち合わせはしました。事細かに打ち合わせたというよりも、モノクロの世界で生きてきた有美の目に宿る暗さを表現するために眼力をどう調整するか、みたいなお話をさせていただきました。その後は各現場で微調整と確認を都度した感じです。

――幅広い年齢層の共演者がいらっしゃいましたが、印象的なエピソードはありますか?

私が枕にもなる湯たんぽみたいなものを持っていたら、伊武(雅刀)さんが「すごく良いね」と言ってくださって。「どこで買えるの?」って聞かれたので「Amazonです」って答えたんです。そしたら「Amazonって何?」って言われて、私はそれにときめきました。聞き方も含めてすごくかわいくて。伊武さんも綾田(俊樹)さんもすごく大先輩ですけど、とても気さくに話してくださるので、私はいつも自然体でいさせていただいたなと思います。

――ロケの印象深い思い出はありますか?

冬だったのでとにかく寒いし、撮影も山の中が多いし、ずっとホテル生活の中、作品も作品なので気分が落ちていきそうだったんです。だからせっかく景色も空気もきれいな長野に来ているんだからと、毎日30分くらいホテルの裏の田んぼ道を散歩してました。私も田舎育ちで田んぼ道がすごく好きなので、歩くことでリフレッシュしてました。あと、とにかくごはんがおいしくて。現場のみんなと「このお店がおいしかった」と情報交換してましたね。私はおいしいパン屋さんを見つけたので毎日行って。「この人毎日来るな」って絶対店員さんに思われてたんじゃないかな(笑)。撮影終盤にはみんなに広まっててみんな行くようになって。メイクさんとすれ違って「あのパンもう無かったよ」みたいな話をしたこともありますね。ご時世柄みんなで食事、ということはできなかったですけど、長野の食事と空気に支えられていましたね。

――ちなみに、日常生活の中での気分転換法はありますか?

私は基本的におうち大好き人間なので、家でダラダラしたらだいたいのことは、「まぁいっか」ってなるんです。でも、それでも拭いきれないストレスがあった場合は紙に書きますね。何が嫌だったか、同じことが起こらないためにどうすれば良いのかというのを、とにかく分かりやすく。解決されていなくても可視化できるので、書くだけでもスッキリします。「自分はこれに腹が立っているんだな」って、客観的に思えることでちょっと距離を取れるというか。昔、友達に見せたことがあるんですけど、ちょっと引いてましたね(笑)。全部を書くから、「ここまで言葉にできるのはすごいね」って言われました。その紙は最終的には捨てます。

――逆にいいことや自分がどう変わりたいのかも書きますか?

それもたまにやります! 単純に書くことが好きなんだと思います。手紙とかも好きですし。

――この作品は「極限のパニック・スリラー」です。スリラーやホラーは得意ですか?

得意じゃないです! 昔ホラー映画に参加した時、撮影中にいろいろ起こることが多くて。それが怖くて、ちょっともう(ホラーは)やめようと思ってました(笑)。でもこの作品は私みたいにホラーが苦手な人でも見られると思います。幽霊が出てくるとか脅かされるとかはないので。不穏で何が起こるか分からないという味では怖いですけど、楽しんでもらえる仕上がりになってるんじゃないかなと思います。私は見られました!

――極限状態の中で見える人間の本性もその怖さの一因になっていそうですね。

嵐が起こって村から出られない状況で人が殺されて、もしかしたら自分も殺されるかもしれないという極限状態になったときに、人のために動ける人とそうでない人が出てくるんです。食べるもの1つとっても、倉庫を荒らして矢萩家が全部取ってしまう。でもそういう人たちって、極限状態に陥る前からすでにその片鱗があるというか。何かが起こったから突然変わるわけじゃないんだなって改めて気付いたときに、よりゾッとしたというか。もちろん「こんなふうになっちゃうの?」ってガラッと変わってしまう人もいるとは思うんですけどね。便利な時代に生きていると直面することのない人間の残酷な部分が、この作品においては色濃く描かれていると思います。

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