今秋、朗読劇『ハロルドとモード』の上演が決定した。
1971年にアメリカで公開された映画『ハロルドとモード』は、ブラックユーモアを随所にちりばめながら年齢差のあるちょっと変わった二人のラブストーリーと生きることの楽しさをコメディータッチに描き、世界中で熱い支持を得た作品。
その後、舞台化やミュージカル化もされ、キャストや上演形態を変え幾度となく上演され続けていて、映画の公開から約半世たった現在に至っても多くのファンを魅了している。
この『ハロルドとモード』が、2020年9月に、これまで数多くの舞台作品の脚本・翻訳・演出を手掛けてきたG2によって新たに脚本が書き下ろされ、朗読劇として上演。簡素なセットで役者が台本を読み上げるというものではなく、舞台セット、衣装、照明、ピアノの生演奏など意匠を凝らし、朗読劇という枠組みを超えた作品づくりで話題となり、好評を博した。
本作で、79歳のチャーミングな女性・モードを演じるのは、長きにわたり海外コメディーシリーズで主演を務めてきた黒柳徹子。本作は、77年の来日公演を観劇して以来かねてより出演を熱望していた作品で、20年の公演で長年の夢を実現させた。「芝居が終わった後も泣き続けていた。喜劇であっても最後には泣くことがある」と語る黒柳自身のライフワーク公演として今年で3年目の上演となる。
黒柳演じるモードに恋する19歳のやんちゃな少年ハロルドを演じるのは、20年公演の生田斗真、21年公演のジャニ―ズWEST・藤井流星からのバトンを受け継ぎ、昨年上演された『ブライトン・ビーチ回顧録』で初めてストレートプレイに挑み好評を博したSexy Zoneの佐藤勝利。本作で黒柳と初共演を果たす佐藤が、黒柳と79歳と19歳のラブストーリーを繰り広げる。
さらに、北乃きい、文学座の林田一高、近藤芳正、常盤貴子と若手からベテランまで豪華キャストが顔をそろえて型破りな二人の生きざまと恋模様をお届けする。今回もG2が上演台本・演出を務める。
3年目の公演となる本作にどうぞご期待を!
[黒柳徹子コメント]
今年もご好評につき、朗読劇『ハロルドとモード』をやらせていただくことになりました。朗読劇は私にとって初めてと言っていい経験でしたが、皆さまの想像力をいっぱいにさせる、素晴らしいものだと知りました。装置がなくとも、動きがなくても、皆さまの想像力がそれをはるかに上回ると分かったのです。面白いお婆さんのモードと、孤独で「人生死んだ方がまし」と考える中でモードに出会い心を許していく青年ハロルドとのラブストーリーです。今回のハロルド役は、Sexy Zoneの佐藤勝利さんにお願いいたしました。共演者は、北乃きいさん、林田一高さん、近藤芳正さん、常盤貴子さんです。皆さんと共演できること、とてもうれしく、すごく楽しみにしています。私が『ハロルドとモード』の舞台を最初に見たのは、1977年。モードを演じたのは、フランスの名優ジャン=ルイ・バローの奥さんのマドレーヌ・ルノーでした。その後、文学座の先輩でもあった長岡輝子さんの舞台も見ましたが、笑いと涙が交錯してとっても印象的でした。その頃からモードを演じてみたいと思っていました。是非、ご覧ください。お待ちしています。それでは、その時に!
[佐藤勝利コメント]
演劇は好きなのですが、演劇的なセットや動きがなく、声だけでその人物を表現する“朗読劇”は初めての挑戦です。自分にとって声だけでその人物を表現できるということはお芝居をする上である種の最終形のように思うので、大きな動きがない“朗読劇”という舞台は、新たな自分の表現を探す貴重なきっかけをいただけたと思います。そして今回、黒柳徹子さんとご一緒させていただけると伺い、小学生の頃に毎朝、担任の先生が黒柳さんの書かれた「窓ぎわのトットちゃん」を朗読してくれた記憶が鮮明によみがえってきました。当時、先生の声を聞き、トットちゃんがどんな子でどういう風景を見ていたのだろうか、といったことを想像し、すてきな生き方だなぁと思いました。作品自体が魅力的だったのはもちろん、今思えば朗読によって想像力をかき立てられた初めての経験でした。今でも僕の心に残っている、その朗読。本作でも記憶に残るような朗読劇をお届けできればと思っています。
公演は9月29日(木)~10月13日(木)まで東京・EXシアター六本木、10月15日(土)~18日(火)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて。詳しくは公式サイト/へ。