名古屋を中心に活躍するエンターテインメント集団・BOYS AND MEN(通称ボイメン)を3月31日に卒業した勇翔。3月17日に卒業公演『俺、卒業します 頭文字Y Final Stage~魂の鼓動、一万一千回転までキッチリ刻め!!~』を終え、夢である俳優としての道を歩み始めたばかりだ。“ボイメン魂”を忘れず、彼らしく真っすぐに未来へと進んでいる。そんな勇翔に、今の率直な気持ちと将来の目標を聞いた。
――卒業ライブを終え、率直な今の心境は?
すごくスッキリとした気持ちです! 何かモヤモヤがあったというわけではなく、卒業ライブで自分の全てを出し切れることができたという意味です。なんだか心が浄化されたような気がして。公演自体は120分ぐらいやっちゃったんですけど(笑)、“すごい早く終わっちゃったな”というもどかしさもなく、本当に自分の中でピッタリと納まったという感じです。
――セットリストも勇翔さんのアイデアが詰まっていたとか。
ボイメンのセットリストは、基本的に(平松)賢人がつくってくれるんですが、今回は僕がやりたい曲を候補出しして、一緒に相談しながら作り上げていきました。セットリストは、今まで僕が13年間ボイメンとして生きてきた時間を振り返りながら選びました。
――曲を選ぶのは大変だったのでは?
いや、割とスムーズに選べた気がしています。 13年前、まだ稽古場もない時にやってたミュージカルの曲を入れてみたり。それぞれの曲に思い出があるから、“こういう時期あったよなぁ”と当時の記憶を思い出しながら選びました。セットリストとしては、これから先の自分のスタイルや方向性が伝わるような流れにしたつもり。
――どれも外せないと思いますが、“絶対にこれだけは歌いたかった”という1曲を選ぶなら?
「One For All,All For One」。昔の僕たちを振り返りながら、メンバー全員で作詞をした曲なんですが、この13年の中で変わらなかった「諦めなければ夢は必ずかなう」という気持ちがすごくこめられている曲。結局、メンバーってすごく大事だよなぁ…って(笑)。いろいろと揉めることはあったけど、人生の中で 13年間同じ時間を共にする仲間や友達は、オレにはもう現れないと思う。そう思うくらいボイメンのメンバーはいい仲間たちなので、 それを改めて再確認できる曲という意味でもセットリストからは外せなかったですね。
――勇翔さんが「やりたい」と言った演出は、ラストでスタンドマイクに学ランをかけてステージを去るというものだけだったとか?
はははっ! 山口百恵さんが引退のステージでマイクを置いて去った演出っていいな、って思ったんですよ(笑)。最後はボイメンっぽく、笑って締めたかったんです。ずっとボイメンとして学ランを着て活動していたので、「卒業する」という区切りをつけるためにも「学ランを脱ぐ」というのはいい儀式だなと思い、メンバーに伝えてやらせてもらいました。
――メンバーの反応は?
みんなはそこまで…「いいんじゃない?」くらいでした(笑)。でも実際にやってみると、すごく気持ちがこみあげてきて。“本当に卒業なんだ”って心に突き刺さるものがありましたね。
――ボイメンとして過ごした13年間で得たものは?
何事に対しても “気持ちを込めて全力でやる”ということ。それはただ激しくパフォーマンスするということではなくて、“常に真剣に向き合う”という意味です。とことん盛り上げようとして裸になってみたり、ちょっとバラエティ色が強いときもありますけどね?(笑)
実は最近、その気持ちを再認識したことがあって。ある先輩の俳優さんとお話をしていたとき、「この世界で頑張っていく以上、ビジネスが先行しすぎてはいけない」という言葉をいただいたんです。お芝居をしてお金をもらうという面ではビジネスだけど、僕たちがやっていることはあくまでエンターテインメント。みなさんが喜んでくれて成り立つものなので、気持ちを大切にぶつかっていかなければいけないな、と。それはずっとボイメンの活動を通して抱いていた思いだったので、信じてきたものは間違えじゃなかったんだなと思いましたね。きっとこれから先も、その思いは変わらないと思います。
――そんな勇翔さんが、俳優としての道を意識したのはいつごろから?
俳優への思いは、13年前から変わっていないんです。もともと俳優になりたくて事務所のオーディションを受けて、最初はミュージカルをやって、そこから歌とダンスを…とやることが増えていって、ボイメンになっていたという(笑)。だから、僕の心の中では「俳優になりたい」という気持ちは変わらずにあって。
――でも1歩踏み出すのは勇気がいることですよね。きっかけはあった?
今までボイメンの活動をしながら、いろんな作品出させてもらっていましたが、作品に対して「全力でできているのかな」と悩む瞬間が増えてきたんです。それがきっかけだったのかもしれない。ボイメンとしての僕が「 諦めなければ夢は叶う」と言っているのに対して、“じゃあ僕は夢に対して全力なのか”という複雑な気持ちが芽生えてきた。もちろん今まで1つ1つのお芝居は、自分の中で全力でやってきたつもりだけど、やはり両立するとなると1つに集中することができない。そんな自分がいることに気づいてしまったんですよね。それに対して、僕のボイメン魂が動いて、“これは全力でやらなきゃダメだろ”と卒業についてメンバーに相談することにしたんです。
――そうしたモヤモヤは、ずっと自分の中だけで抱えていた?
そうですね。相談したのは、メンバーに卒業を打ち明けたのが初めてでした。メンバーとは、普段楽屋でもおふざけモードなので(笑)。でも、きちんと相談しないと自分のパフォーマンスに影響が出るだろうなと思ったんです。そうした話をするのは、メンバーが最初。やっぱり何事もメンバーに承諾をもらわないと前に進めないと思っているから。
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