松尾スズキ不朽の傑作悲劇、日本総合悲劇協会VOL.7『ドライブイン カリフォルニア』が18 年の時を経て5月27日に本多劇場にて開幕した。
1996年に“21世紀の不幸を科学する”と銘打って立ち上げられた「日本総合悲劇協会」(通称・ニッソーヒ)は、松尾スズキによる“悲劇”を基本としたプロデュース公演。『ドライブイン カリフォルニア』はその第1作として初演された。
出演は、松尾作品では4年ぶりの主演となる阿部サダヲ、WOWOW『松尾スズキと30分の女優』でもそのコメディエンヌぶりを遺憾なく発揮した麻生久美子、ドラマ、舞台、司会と幅広いジャンルで活躍し、松尾作品初参加となる谷原章介、その独特な存在感と幅広い演技で魅了する皆川猿時。また、猫背椿、小松和重、村杉蝉之介、田村たがめと松尾作品では欠かせない俳優陣に加え、川上友里、河合優実、東野良平とフレッシュな顔ぶれがそろい、総勢11名の個性豊かなキャストが集結致した。
裏手に古い竹林が広がるとある田舎町のドライブイン。経営者のアキオ(阿部)は妹に対して、兄妹愛とくくってしまうにはあまりにも純粋な思いを抱いていた。妹マリエ(麻生)は14年前、店にたまたま訪れた芸能マネジャー若松(谷原)にスカウトされ、東京でアイドルデビューするも結婚を機に引退。その後、夫の自殺など数々の経験を重ね、中学生の息子ユキヲ(田村)と共に地元へ帰ってくる。このカリフォルニアという名のドライブインには、異母兄弟の弟ケイスケ(小松)、アルバイトのエミコ(河合)が働いている。アキオたちの父親ショウゾウ(村杉)、高校教師の大辻(皆川)、アキオの恋人マリア(川上)、若松の妻クリコ(猫背)、クリコの不倫相手ヤマグチ(東野)などを巻き込んで時は複雑に流れだす…。
社会的テーマを扱いながらも、シニカルで独特な作品を手掛けてきた松尾スズキの切なくていとおしい慈愛に満ちた悲喜劇を、豪華キャストが絶妙な表現で観客をドライブインの世界へ引き込むこと間違いなし。ぜひ劇場でご堪能を!
[阿部サダヲコメント]
あんなに大人なお話だと思っていたのに、今回の『ドライブイン カリフォルニア』が今までで一番平均年齢高いそうです(笑)。今年で大人計画に入って30 年になります! 大人なお芝居をお見せできるよう頑張ります‼
[麻生久美子コメント]
稽古も終わり、あっという間に本番でザワザワしています。稽古場は日々笑いに包まれていて、何度も幸せだなぁと感じていました。そして松尾さんの演出が本当に面白く、どんな言葉で導かれていくのか、自分も含め皆さんの分も楽しんで聞いていた時間もまた貴重でした。やはり、間違いなく面白い作品になっていると思います! ここから大千秋楽まで、私もマリエと一緒に成長しながら完走したいと思いますので、皆さま、ぜひご観劇ください♪
[皆川猿時コメント]
えー、私、皆川猿時は毎朝だいたい7時に起きます。ちなみに谷原章介くんは4時起きだそうです。ゆっくり朝ごはんを食べて『めざまし8』をチラ見してから二度寝します。たまに三度寝します。おかげさまで最高のコンディションで初日を迎えることができそうです。非常に興奮しております。うおー! やるぞー! どーん! いやいや待て待て落ち着け落ち着け。「そろそろ、年相応の落ち着いた演技を身につけなきゃ!」なんだろ? 俺。そんなわけで、はい、落ち着いて頑張りまーす!
[谷原章介コメント]
念願の大人計画の舞台。感じたのは集中力の高さです。言葉の密度が濃くてテンポが速く、気を抜くとすぐに間が開いて台無しになります。ギャグに隠されたキャラクターの心情や物語の切なさに気付いた時、やっと物語の一員になれた気がしました。それも、ひもトレを教えてくれた猿時さんのおかげです。たくさん笑って、この優しい物語の世界に浸ってください。
公演は6月26日(日)まで同所にて。6月29日(水)~7月10日(日)まで大阪・サンケイホールブリーゼにて。
撮影◎田中亜紀