今春5月に東京・Bunkamuraシアターコクーンにて、堤真一、森田剛、伊藤蘭ほかを迎え、COCOON PRODUCTION2022DISCOVER WORLD THEATRE vol.12『みんな我が子』-All My Sons- を上演することが決まった。
『セールスマンの死』(ピューリッツァー賞・トニー賞受賞)、『るつぼ』などで有名な20世紀を代表するアメリカの劇作家アーサー・ミラーの代表作の一つとされる戯曲『みんな我が子』。1947年にアメリカ・ブロードウェーで初演され、第1回トニー賞を受賞、その後世界各国で上演、翌48年と87年には映画化もされた。近年では、2019年にイギリス・ロンドンのオールド・ビック・シアターで上演され、ナショナル・シアター・ライブで上映。同年ブロードウェーでのリバイバル公演が第73回トニー賞の演劇リバイバル作品賞を受賞するなど、初演から70年以上の時を経ても色あせることなく世界中で上演され続けている。
第二次世界大戦後の一見円満そうなとある家族の葛藤と崩壊が描かれ、悲劇的なラストに至るまでに込められた胸に刺さるセリフの数々は、今もなお多くの観客の心を揺さぶる。
本作は堤、森田、西野七瀬、大東駿介、山崎一、伊藤らで上演する家族の物語。幸せをつかむためのとある選択が人生を狂わせ、家族を崩壊させる。アメリカの片田舎に暮らす家族と隣人、友人家族に起こるたった一日の物語を実力派の豪華キャストが結集して演じる。
家族のためにただひたすらに生きる父ジョー・ケラーには、作品ごとに独特の存在感を放つ堤。戦争から戻らない次男ラリーの無事を信じ家族を愛する母ケイトには女優として活躍、近年はアーティスト活動も再開した伊藤。ケラー家の長男クリスには長年活動してきたアイドルグループV6の解散という人生の大きな選択をし、新たな俳優人生の第一歩として2年ぶりの舞台出演となる森田。ラリーの婚約者アンには本格的な舞台は劇団☆新感線の『月影花之丞大逆転』に続き2作目、近年活躍目覚ましい西野。アンの兄ジョージには、シリアスからコメディーまで多彩な役を演じ分ける大東。そして、ケリー家の隣人ドクター・ジムにはベテラン山崎。
文化や言葉の壁を乗り越えて、上演され続ける家族の物語が、今年5月に再び幕を開ける。
[堤真一コメント]
アーサー・ミラーなら面白いに違いない、そう思って戯曲を読みましたが、こんなに難しい作品とは想像していませんでした。第二次大戦後のアメリカを舞台とした物語で、この父親の行為は、1947年の初演当時と現代とでは見方が全く違ってくるだろうと思います。「家族のためには仕方がなかった」という意見もあったであろう昔に比べ、今では絶対に許されない。それでも、この父親を単なる悪として表わすのはどうなのか。一昨年の舞台『十二人の怒れる男』をリモートで演出されたリンゼイ・ポズナーさんと、今回こそは稽古場で直に作品づくりがしたいですし、存分に話し合って稽古を進めていきたいですね。とてもヘビーな挑戦になるだろうと思います。許されないはずのことが、まかり通っている。それは今の社会にも感じることだし、自身の生き方と照らし合わせてドキッとする人もいるかもしれません。見えているのに見ようとしないものが世の中にはたくさんある、そう気付ける作品にできたらいいなと思っています。
[森田剛コメント]
役者人生において大きく変わるタイミングに、この作品に出会えたことをうれしく思っています。戯曲を読んで、家族だから許せることと許せないことがあり、近くにいるから見えるものと見えないものがある…、そういったことに強く引かれました。親子や兄弟だからこその複雑な心情を、稽古場で演出の方や共演の方々とじっくり話し合い、作品を立ち上げていければと思っています。文化や宗教などの違いはありますが、そこは意識することなく、同じ人間として、とても身近に感じられる話ではないかなと思います。自分が思うこと、感じていることをはっきりと提示するのは苦手な方ではありますが、稽古ではそこをちゃんとやっていきたいですね。そうして皆さんの話を聞き、演出を受けながら、崩したり構築したりを楽しんでやっていきたい。最終的にこの家の息子に見えたらいいなと、それだけですね。楽しみに待っていていただけたらと思います。
公演は5月10日(火)~30日(月)まで東京・Bunkamuraシアターコクーン、6月3日(金)~8日(水)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて。