４月に東京と大阪で、加藤シゲアキ主演舞台 パルコ・プロデュース2023「エドモン～『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いた男～」の上演が決定した。

映画監督としても活躍するフランスの若手劇作家で演出家のアレクシス・ミシャリクが、トム・ストッパードの映画『恋に落ちたシェイクスピア』に触発されて映画製作を構想するも資金が集まらず、先に舞台版として初演された本作。2016 年にパリで上演するやいなや、上演回数700 回を超えるロングラン大ヒットを飛ばし、ミシャリクの出世作となった。正統派のフランス喜劇の流れをくみながら、テンポの良いせりふ運び、サラ・ベルナールやチェーホフなど実在の人物も登場させるなど、約120年前の演劇人やクリエーターたちに向けた劇場愛にあふれた賛辞として大人気を博した本作は、17年のフランス演劇界最高の栄誉といわれるモリエール賞で７部門にノミネートされ、作品賞、脚本家賞、演出家賞など５冠を達成。大ヒットを記録した舞台版の初演から２年後の18年に、ミシャリク自身が映画化（『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい！』20年11月日本公開）。舞台版は、コロナ禍を経て21年秋にも再演され、爆笑と喝采に包まれた客席は、連日にぎわった。いつの時代も、どこの国でも、初日の幕を上げるために必死で作品づくりをしている舞台人がいる！　そんな勇気をもらえる作品を、日本で初めて上演することが決定した。

舞台は、1897年パリ。将来を嘱望されるも２年間という長いスランプに陥っている崖っぷちの劇作家エドモン・ロスタンに、突然舞い込んだ大きな仕事。その舞台の初日はまさかの３週間後！　大女優と大御所俳優のむちゃぶり、親友との三角関係、主演女優の気まぐれ、プロデューサーからの鬼催促、完全なる資金不足、妻の嫉妬など、あらゆるトラブルに見舞われながらも、なんとか書き始めたのは、17世紀に実在した大きな鼻の剣豪詩人の話…『シラノ・ド・ベルジュラック』。

『シラノ・ド・ベルジュラック』は、日本でも大正時代に『白野弁十郎』として翻案上演されるなど、初演から120年以上経た今もなお、世界中でミュージカル化、映画化されるなど、愛され続けている舞台劇。今となっては古典、珠玉の名作戯曲となった『シラノ・ド・ベルジュラック』が、３週間でいかにして「初演」の「初日」を迎えたのか。今、その秘密が解き明かされる！

 演出は、令和３年度第72回芸術選奨 文部科学大臣賞を受賞、令和４年秋に紫綬褒章を受章するなど劇作家・演出家としての功績を高く認められるマキノノゾミが務める。時代劇から現代劇、ストレートプレイからミュージカルと数多くの作品を手掛け、実在する人物をユーモアと人間味あふれるキャラクターとして現代によみがえらせてきたマキノが、崖っぷちの劇作家エドモン・ロスタンをどのように演出するのか、注目が集まる。

“書けない”劇作家エドモン・ロスタン役で主演を務めるのは、NEWSとしての活動に留まらず、作家としても数々の人気作を生み出し、多岐にわたって活躍する加藤シゲアキ。実在の劇作家エドモン・ロスタンにまつわるエピソードを、実際に作家・劇作家としても活動する加藤シゲアキとマキノノゾミが、どのように紡ぎ出すのか、どうぞご期待を！

今なお世界中で愛される名作誕生にまつわる紆余曲折と苦悩、なによりも熱い熱い劇場愛を、爆笑の渦に巻き込みながらお届けする。

［加藤シゲアキコメント］

『シラノ・ド・ベルジュラック』を生み出したエドモンがいかなる苦悩を経て、この不朽の名作を生み出したか。ひもじくも妥協せず、あらゆる犠牲を払って作品に向かい合うエドモンは、誰にでも理解できる人物ではないかもしれません。しかし、その過程を切実かつユーモラスに描くこの作品に、私は僭越ながら共感しました。同時に言葉の持つ力も改めて実感し、今この時代にこの公演を行う意味を、台本を読んで以来ずっと考えています。エドモンになれる喜びを胸に、誠心誠意心を込めて演じさせていただきます。

公演は４月１日（土）～16日（日）まで東京・新国立劇場 中劇場、４月22日（土）～24日（月）まで大阪・東大阪市文化創造館 Dream House 大ホールにて。