6月7日に東京・Bunkamuraシアターコクーンにて、COCOON PRODUCTION 2021 DISCOVER WORLD THEATRE vol.10『夜への長い旅路』が開幕。公演初日を迎えて出演者がコメントを寄せた。
『夜への長い旅路』は、DWTシリーズ最多登場の英国気鋭の演出家フィリップ・ブリーンの指揮の下、フィリップに熱い信頼を寄せる大竹しのぶ、4年ぶりの舞台出演となる大倉忠義、初舞台に挑む杉野遥亮、フィリップとは初タッグとなる池田成志がシアターコクーンに集い、劇作家・ユージン・オニールの最高傑作に挑む。
キャストは、モルヒネ中毒に冒されて常に精神が不安定な母メアリーに大竹しのぶ、アルコールに溺れ、父親の脛をかじって放蕩(ほうとう)を繰り返す長男ジェイミーに大倉忠義、結核を患っている次男エドマンドに杉野遥亮、アイルランド系移民で、金銭に対して異常な執着を持つ俳優の父ジェイムズ・タイロンに池田成志、一家の女中に土居志央梨。
オニール家をほぼ忠実に再現したとされるタイロン家の、夏のある一日の物語。オニール自身が投影された次男エドマンドの視点のみならず、母、兄、父、家族4人の個々の内面が深く掘り下げられ、それぞれの抱える哀切や怒り、後悔や絶望、そして家族間の愛憎と確執が、巧みな会話の応酬で見事に表出された家庭劇。心揺さぶる衝撃の舞台が展開する。
[大竹しのぶコメント]
思っていた以上に大変な戯曲であることが分かり、そして毎回のことですが、フィリップの戯曲の深い理解に感動しながら稽古を重ねてきました。それぞれが苦しみや絶望を感じていても、それぞれが大きな愛を持っている。だからこそ切なくて、そして美しい物語です。こんな状況の中でも来てくださることに、本当に感謝です。
[大倉忠義コメント]
稽古を経ても、まだまだこの戯曲の大きさ、深さに驚かされています。愛憎劇という、なんでこんなに愛しているのに悲しいことばかり起こるのか……と思いながら演じています。こんな形の家族を見て、お客さまへ何でもいいので何か宝物になるような経験を持って帰っていただけるように頑張りますので、どうぞ愛を持って見守ってください。
[杉野遥亮コメント]
初舞台で毎日すてきな経験をさせていただいています。劇場に入り初めて舞台上から客席を見た時はすごくワクワクして、もっともっと稽古をしたいという気持ちもあるけれど、早く見ていただきたいという気持ちも湧いてきました。物語はとても暗く、残酷に見えますが、そんな物語を今この時代に、この瞬間に上演することに意味があり、希望があると思っています。一緒に楽しんでください。
[池田成志コメント]
この作品は台本が分厚くてものすごい情報量です。身に染みたとか、分からないとか、ここが響いたとか、見てくださった方それぞれに、いろいろな感情が湧いてくると思います。それだけ複雑な内容なんだと僕たちも実感しています。とても苦しくなると思うので、休憩中にいっぱい深呼吸してください(笑)。終わったら、少しだけ気が晴れるような作品にもなっていると思います。
東京公演は7月4日(日)まで同所にて。京都公演が7月9日(金)~18日(日)まで京都劇場にて。
撮影◎細野晋司