2023年のG.Wに5回目の上演が決まっている、浦井健治主演のミュージカル『アルジャーノンに花束を』。このたび、浦井演じる「チャーリイ・ゴードン」のメインビジュアルが公開され、浦井のインタビューも届いた。
原作は、作家ダニエル・キイスが59 年に発表した同名小説。
32歳になっても幼児なみの知能しかないパン屋の店員チャーリイ・ゴードン。そんな彼に、夢のような話が舞い込んだ。大学の偉い先生が頭を良くしてくれるというのだ。この申し出に飛び付いた彼は、白ネズミのアルジャーノンを競争相手に、連日検査を受けることに。やがて、手術によってチャーリイは天才に変ぼうしたが…。
日本でも発行部数300万部を超える名作であり、小説を基にアメリカ、カナダ、フランスで映画化され、日本でも02年に映画化、15年にテレビドラマ化された。ミュージカルとしては06年2月に日本初演を果たして「第31回菊田一夫演劇賞」を主演の浦井が受賞、浦井は14年の上演の際にも「第22回読売演劇大賞最優秀男優賞」を受賞した。17年、20年の上演時にも大きな話題となり、人々の心に深く刻まれた傑作ミュージカルだ。
出演は浦井をはじめ大山真志、長澤風海、若松渓太、大月さゆ、藤田奈那、渡来美友、東山義久、北翔海莉。
今回が9年ぶり3回目の主演となる浦井。このたび、ビジュアル撮影を終えた直後のインタビューが到着した。
[浦井健治インタビュー]
今回再演のお話を頂いて、とてもうれしかったです。2006年と2014年に演じたチャーリイ・ゴードン。ビジュアル撮影をしながら、チャーリイが今も自分の中にとても大切なものとして存在していることを実感し、胸が熱くなりました。特に2006年はまだ右も左も分からない中、自分にとって初の主演でしたし、無我夢中で務め、諸先輩方やスタッフさんたちに支えていただきました。稽古場で出来上がってきた曲をみんなが体育座りして聴き、「いいね!」と盛り上がった日々。創作の過程から参加することで、演劇を作る醍醐味を味わいました。2014年の再演時も稽古場で冒頭の曲がかかった瞬間に涙を流す人がいる、そんなたくさんの思いが詰まった現場で多くのことを学びました。『アルジャーノンに花束を』の原作はダニエル・キイスの小説で、世界中で愛されているベストセラーです。SFでありながら、人間の機微、狂気、葛藤、成長がつづられ、誰でも気付きや学びを得られる物語。その物語に斉藤恒芳さんによる、センスと技術をとことん注入したある種実験的な音楽を乗せることで彩り深いミュージカルになっています。その実験とは、テーマの一つである人体実験とも重なります。明るくて人が大好き、そんなピュアさゆえに人体実験に関わった主人公チャーリイの行く末…。果たして、チャーリイが関わった実験は良いことなのか? そもそも、人間の生存力と遺伝子を残すという欲の下でパンドラの箱を開けたらどうなるのか? 周りの人たちはそれをどう受け止めるのか? 人に上下はあるのか? 一見遠い話のように思えるかもしれませんが、今の時代、決して他人事ではない気がしますし、この作品は必ず何らかのメッセージをお届けできると信じています。この作品を見ながら気付き、発見し、日常生活のヒントにしていただけたらうれしいです。実は初演の際、みんなで話し合いながら作品を作ることに驚きました。自分自身も作品の解釈や役作りに悪戦苦闘していたけれど、それがストンと腑に落ちたのは、この作品のメッセージをカンパニーのみんなで作ればいいんだ!と思えた時でした。今回このカンパニー、このメンバーで2023 年バージョンを作れることがすごく尊く、やらせていただけることに心から感謝しています。そして、2006年と2014年にアルジャーノンを演じ、僕と共にこの大切な物語を紡いでくれた森新吾くんとの絆を忘れることはありませんし、今回、ストラウス博士を彼のグループのリーダーである東山義久さんが演じることで、より特別な瞬間になることでしょう。2023年版ならではの『アルジャーノンに花束を』をみんなで力を合わせて立ち上げていきますので、楽しみにしていてください。
公演は2023年4月27日(日)~5月7日(日)まで東京・日本青年館ホール、5月13日(土)、14日(日)大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WW ホールにて。詳しくは公式サイトへ。