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新春スペシャルドラマ 『スロウトレイン』脚本・野木亜紀子×演出・土井裕泰インタビュー

TBS系で2025年1月2日(木)よる9時から新春スペシャルドラマ 『スロウトレイン』を放送する。主演に松たか子を迎え、多部未華子、松坂桃李、星野源、チュ・ジョンヒョクと実力派俳優陣が集結。“家族の在り方”を描く新時代のホームドラマを届ける。

放送に先駆けて、本作の脚本を手がけた野木亜紀子と、演出を務める土井裕泰(TBSテレビドラマ制作部)が、制作のきっかけから、物語に込めた思いなどを語った。

 

野木と土井は、過去にTBS系で放送された連続ドラマ『空飛ぶ広報室』(原作:有川ひろ)『逃げるは恥だが役に立つ』(原作:海野つなみ)『重版出来!』(原作:松田奈緒子)、そして映画「罪の声」(原作:塩田武士)でタッグを組んできた。本作が発表になった際に、野木は「私の脚本家人生の節々において、土井裕泰監督には大切な助言と学びをもらいました。2022年の終わり頃「定年前にSPドラマを作りたい」と連絡があり、「土井さんの卒制ともなれば喜んで!」始まったのがこの企画 」とコメントしていた。

司会から、本作が“卒業制作”と聞かれた土井は、今回のドラマの制作について「野木さんとはドラマや映画で4度ほどご一緒してますが、まだオリジナルをやったことがなかったので、この機会に実現させたいなという思いもありまして」と、野木とオリジナルのドラマを制作したかったことを明かし、俳優陣には脚本の形になる前に声をかけたところ、快諾してもらったと経緯を語った。

野木も「土井さんに卒業制作撮りたいって言われて断れないですよね(笑)」と笑いを誘いながら、「せっかくそういう作品を撮ろうとしているなら自分が書きたい」「こじ開けて書きますよ!」と心意気を明かした。

土井は野木が脚本を手がけたドラマ『コタキ兄弟と四苦八苦』(テレビ東京)がとても好きだったこともあり、「家族や兄弟の話をやりながら、でもそこにちゃんと今の社会や市井のリアルな悩みが描けたらいいなと思い、人生の岐路に立った3人の姉弟の話を考えていきました」と、野木とのタッグで新しいホームドラマを目指すに至った経緯を語った。

本作は鎌倉を中心に、長女の渋谷葉子(松たか子)、次女・都子(多部未華子)、長男で末っ子の潮(松坂桃李)の3姉弟を描いたホームドラマ。交通事故で両親と祖母を一度に亡くした姉弟たちが二十三回忌の法事で集まり、その帰り道で、都子が突然「韓国に行く!」と葉子と潮に告げる。この告白をきっかけに、三者三様の姉弟がそれぞれ人生の岐路を迎える。

野木は脚本をあてがきで制作し、キャスティングも、一番最初に決定したのが松だったと言う。物語は、鎌倉を筆頭に、東京、釜山と3つの場所が舞台になっている。

メインの舞台が鎌倉になった理由について、土井は「この企画を立ち上げた頃、電車で“小津安二郎生誕120年、没後60年”企画展の広告を見たんです。60歳で亡くなった小津監督の歳に自分がなることに小さな感慨がありましたし、小津映画の舞台となった鎌倉で家族や親子、結婚というテーマの作品をやることは、この何十年かの間に私たちの中でおきた変化を描くうえでとても意味があると考えました」と小津の映画で描かれていたような家族像、結婚観を踏まえながら、同じ鎌倉の地で、いまを生きる姉弟の話へとつながったと話す。

また、2002年に行われた日韓共同開催のサッカーW杯を挙げながら、「『friends』という日韓共同制作のドラマを制作したんですけど、まだ冬ソナ(「冬のソナタ」)の前だったんです。 お互いにあまり理解できてなくて、制作する過程では大変なことも沢山ありました。そのドラマのテーマは、過去の歴史の上でのわだかまりを、若い人たちは文化を通して分かり合い乗り越えていけるんじゃないかということでした」と、2002年にテレビドラマ史上初の日韓同時放送を行った作品を回顧。

続けて「いま、日本の若い人たちの多くが韓国のカルチャーやエンターテインメントに憧れて追っかけていて、この20年の間に起きた意識の変化を両国の若者たちの個人の繋がりを描くことで、自然に描けるのではないか」と意図を明かした。

野木が書いたプロットのタイトルが「乗り換え列車」だったと明かした土井は「人はみな途中の駅で電車を乗り換えるように、それぞれのレールを選び、人生は進んでゆく…というイメージが浮かび、江ノ電をリンクさせて『スロウトレイン』というタイトルに行き着きました」と話す。

オリジナル脚本で描かれる本作。土井がディレクターをはじめた1990年代当時は連続ドラマはほぼオリジナル作品だったと回顧。現在も再びオリジナルドラマが重視されているが、10年ほど前は原作があるドラマでないと企画が通らない時代もあり、オリジナルが書ける脚本家にも原作ものを依頼するケースに戸惑いを感じていたとも明かした。

一方の野木も「オリジナルを作らないとプロデューサーもオリジナルを作る力が失われていくので、そういう意味でもどんどん増えていったらいいですよね。原作ものが悪いわけではないので、両方があるといいのでは」と原作ものとオリジナルの両方をバランスよく制作していけたらと思いを告白。

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