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窪田正孝、石橋静河「舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド」公開ゲネプロ

東京・東急歌舞伎町タワーにオープンする新劇場・THEATER MILANO-Zaのこけら落とし公演「舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド」(5月6日~28日上演)の公開ゲネプロが、5月5日に同劇場で行われた。
「舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド」は、原作に敬意を表したオリジナル作品。壊滅的な状況になった地球、そして生き残った人々と、「エヴァンゲリオン」に搭乗し使徒と呼ばれる敵を殲滅する少年少女たち。その陰にある真実を知る渡守ソウシ(窪田正孝)は贖罪と再生のため、かつての恋人で特務機関の女性・霧生イオリ(石橋静河)に接触。世界の秘密を解き放つ――。
6月3日・4日に長野・まつもと市民芸術館、6月10日から19日まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演される。
[撮影:宮川舞子]

<コメント>
シディ・ラルビ・シェルカウイ(構成・演出・振付)
『エヴァンゲリオン』を舞台化するというのは、まさに道徳観や価値観と向き合い「なにが正しくて大切なのか」を問いかけることだと考えています。今回の舞台化では、『エヴァンゲリオン』という神話を使いながら、同時に新たな物語を立ち上げます。原作のアニメーション作品と同様にエヴァンゲリオンにパイロットたちが搭乗して使徒と戦いますが、私たちの物語は別の道へ向かって行きます。原作の原理や本質を反映していますが、私たち独自のやり方でそれを表現しています。ただアニメと同じものを映し出すわけではありません。これは、今の世界を映し出す鏡なのです。ですから『舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド』は、ある意味で『エヴァンゲリオン』とは違うことを目指しています。そこで伝えたいのは「今、我々がどう生きているか」ということ。ご覧になったあとは、ぜひ皆さんで語り合っていただけたらと思います。この作品を見てどのように感じたか、そして自分の仕事や人生についてどう考えるか。そんな会話が生まれるのを楽しみにしています。

窪田正孝(渡守ソウシ役)
今の大人たちは子供たちへバトンを渡すことができるのか。『舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド』はとても現代的なテーマが込められた作品だと僕自身解釈しています。渡守の生き方は自分の心を代弁してくれている気がして、舞台はそれをストレートに表現できる場所でもありました。デジタルが加速してすべてが映像やインターネットに代わっていく時代だけど、あえてそこに抗い、今『エヴァ』を演劇でやる意味はあると、僕は思っています。正直、情報に埋め尽くされすぎて心に余白のある人が以前より少なくなった気がしています。
だからこそこの作品に僕は余白を作りたいし、観てくださる方の、なにかきっかけになればと思っています。先入観を捨て、目の前で起きることを自然な感覚で捉えていただけたら幸いです。

石橋静河(霧生イオリ役)
ラルビさんといつかお仕事がしたいと思っていたのが10年くらい前のこと。ダンスを志す者としていつかご一緒したいと思っていましたが、踊りを離れてお芝居の世界に入って。思っていた通りにではないけれど、確実に夢が叶ったことに不思議な感覚を覚えます。
この作品ではヒエラルキーの頂点には叶が、その下にイオリ、そして子供たちがいる。そんな男性社会の中で、人には制御しきれないエネルギーを使う弊害が描かれるなど、とても今にリンクした作品になっています。だからこそ表面的な設定や世界観だけでなく、この作品の真髄をご覧になる方々へ伝えたいと思っています。

田中哲司(叶サネユキ役)
今回の話を聞いたとき、よく『エヴァンゲリオン』の舞台化を決意されたなと思いました。でも2018年に『プルートゥ PLUTO』を観て、作品をまとめ上げる力量に感嘆したので、ラルビさんの演出ならば、そこに身を委ねてみたいと思いました。実際に稽古が始まってみて感じるのは、この作品の根底にあるのは人間の力であり、そこに『エヴァンゲリオン』を演劇にする意味が詰まっているということです。
叶が手をのばすもの、僕はそこに原発をイメージします。今はしのげていても明確な未来は見えない。暮らしは豊かになったけど、電力が供給され続けなければその豊かさは維持できない。もうあとには引けない、だから科学者として突き進むしかない。叶の姿には、今の世界が如実に反映されていると感じています。

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