4月14日(金)に新宿の新たなランドマークとして開業する「東急歌舞伎町タワー」。その6階に誕生する新劇場「THEATER MILANO-Za」のオープニングシリーズとして、5月上演『舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド』、6月上演『パラサイト』と話題作を次々に発表してきたBunkamuraが7月に、唐十郎の傑作戯曲『少女都市からの呼び声』を上演する。
本作は、1969年初演の『少女都市』を改作し、85年に新宿スペースDENにて劇団状況劇場が初演。その後93年、劇団状況劇場出身でもあるキム・スジンが、自身が主宰する新宿梁山泊公演で上演し、文化庁芸術祭賞を受賞した。フランスのアビニョン演劇祭をはじめカナダやアメリカ、オーストラリアなどでも上演され、海外でも高い評価を受けている作品だ。
今回演出を務めるのは、前出の劇団・新宿梁山泊主宰のキム。唐十郎と蜷川幸雄の両虎を師とし、『ビニールの城』(2016年)の演出を手掛け、多くの観客を魅了し見事その使命を果たした。『唐版 風の又三郎』(19年)、『泥人魚』(21年)と、次々と唐の名作を喧騒の野外テントから広壮な劇場空間によみがえらせ、アングラの醍醐味のわい雑さと詩情豊かで幻想的な唐の劇世界を美しく昇華させた。
キムが新宿梁山泊を旗揚げするきっかけともなった本作を、テントや小劇場、渋谷からも飛び出し、野外テントの聖地・花園神社を有する新宿の新劇場でどのように躍進させるのか、ぜひご期待を!
主演を務めるのは関ジャニ∞の安田章大。アーティストとしてはもちろん、俳優としても幅広く活躍し、昨年上演された『閃光ばなし』(22年)以来の舞台出演となる。これまでテント芝居で唐作品に幾度となく触れ、憧れを抱いていたという安田。どこか神秘的で静謐(せいひつ)な空気感をまとう彼が、唐作品特有の幻想的な世界観と融合しどのような化学反応を起こすのか、満を持しての参加に期待が高まる。
ヒロインは元宝塚歌劇団雪組トップ娘役で、本作で初のストレートプレイに挑戦、その透明感あふれる歌声とたたずまいは、まさにガラスの肉体を持つ少女・雪子にぴったりの咲妃みゆ。
さらに、三宅引城、風間杜夫、そして唐ワールドを構築する上で欠かせない手練れの俳優陣も勢ぞろいし、求心力あるアングラ演劇の世界をご覧に入れる。
[安田章大コメント]
唐さんの作品をテントで初めて見た時にカルチャーショックを受けたんです。言葉が美しく、独特の世界観ではあるけれど、その言葉にはきらめきがあり、吸い込まれて、こんな世界が世にあっていいんだと思えたのが感覚的にあったので、その世界に飛び込ませていただけることは自身の芝居観も変わるでしょうし、お芝居の振り幅も大きく広がる気がしています。今回初めて唐さんの作品とキムさんの演出を経験するので、まずはそのバージンを楽しもうと思っています(笑)。1回経験してしまったら2回目はもうバージンじゃなくなんねんなと思うと、とてつもないうれしさがありますし、同時にやみつきになってしまったらどうしようという不安があり、なんだか毒だなとも思います。うれしい毒に出会えました! 僕が演じることによって田口というキャラクターがこういう見え方をするんだという新境地や新感覚を皆さんに届けられなければ、ここに立ってはいけないなという覚悟です。ぜひ期待値を上げて見に来てくださいとお伝えしておきます。お客さんもキャストですから、一緒にステージをつくるという気持ちを持っていただけたら幸せに思います。
COCOON PRODUCTION 2023『少女都市からの呼び声』は、7月9日(日)~8月6日(日)まで東京・THEATER MILANO-Za、8月15日(火)~22日(火)まで大阪・東大阪市文化創造館Dream House 大ホールにて。