気になる場所に100台の固定カメラを設置して、その場に生きる人々の生態を観察する人気ドキュメンタリー番組「100カメ」。
2月23日(木)放送の特番では、3月3日(金)に前編の放送が迫る「『進撃の巨人』The Final Season完結編」の制作現場に密着する。「呪術回線」などのヒット作を連発しているアニメスタジオ・MAPPAを舞台に、アニメーター、CGアニメーター、制作進行などの多種多様なアニメのプロたちが全身全霊で“進撃”していく姿を100台のカメラが捉える。そこにはMCのオードリーも驚く、1秒たりとも妥協しないプロたちの生態があった。
放送を前に、渡辺隆文チーフ・プロデューサー、齋藤亮佑ディレクターに撮影秘話を聞いた。
――取材に当たり、こだわった部分を教えてください。
齋藤 撮影日は全部で4日ほどでした。まだそこまで多忙ではない夏ごろにスタッフの皆さんのお仕事ぶりを撮影させていただき、それが前半のVTRの軸です。少しずつ忙しくなってきた秋ごろにも、放送されるものに近い「撮影あがり」の第一弾が届くタイミングで取材させていただきました。そのタイミングでハヤシ監督の絵コンテ問題も発生したので、この2つが後半のVTRの軸になっています。
渡辺 カメラの置き位置を決めるために、密着させていただく前にMAPPAの皆さんに、普段の仕事内容からよく話すことなど、仕事における人間関係のヒアリングをさせていただきました。大きなスタジオ内での連携を1つのテーマにして、さまざまなセクションがつながって番組が作られていくというのを、視聴者の皆さんにぜひ映像を通して感じていただきたいという狙いです。
――膨大に素材があるかと思いますが、泣く泣くカットした部分も?
齋藤 どのカットを使うかという取捨選択はもちろんありましたが、実は、要素としてこれを落とした、というのは意外とないんです。
渡辺 「100カメ」の場合はマルチ画面にすることもできますので、とにかく要素を超濃縮して、限られた時間の中で余すことなく取り上げるという形でやっていました。例えばスタッフ表1つにもたくさんの情報が入っていて、読み切れないほど。配信もありますので、止めながら見てみるとまた違った発見があるかもしれません。
――アニメの制作現場に密着して、印象的だったことは?
齋藤 「コスパよりクオリティー」ですね。アニメーターさんが1.5秒のレイアウトに1日以上かけていて。レイアウトの後にも、原画、作画監督さんの修正と続くため、もう少し各工程が短いと思っていたので驚きでした。改めて、1分1秒にアニメーターさんの魂が込められているのだなと思いました。
渡辺 事前の取材で「アニメ制作はどういう現場なのですか?」とMAPPAさんに伺ったところ、「本当に長いマラソンみたいなものです」とおっしゃっていたのが印象的で。実際にそのマラソンをのぞき見して、全員が全力疾走しているなと感じました。長いマラソンだけど、誰も手を抜かないし、作品への気持ちも熱くて。番組こそ違いますが、「100カメ」を作る上でも画面を通してその姿にすごく励まされ、勇気付けられました。インタビューもなく、実際に撮ったありのままを濃縮して届けるのがこの番組ですので、ぜひ妥協のない姿勢で制作に取り組む皆さんの思いを感じていただけたらと思います。MAPPAさんに対しても、この番組でエールを送っているつもりでいます。
齋藤 今回の「100カメ」をご覧いただくことで、多くの方にMAPPAの皆さんの仕事ぶりを知っていただき、アニメの制作チームにエールを送ってもらえるとうれしいです。
100カメ「アニメ 進撃の巨人」
NHK総合
2月23日(木)後9.30~10.00
※NHKプラスでも配信
アニメ「進撃の巨人」The Final Season完結編(前編)
NHK総合
3月3日(金)深0.25~1.27
文◎布澤奈々子