「silent」は、川口春奈演じる主人公・青羽紬が、かつての恋人・佐倉想(目黒蓮)と音のない世界で“出会い直す”姿を描いたラブストーリー。
難聴を患った想と手話を使って少しずつ空白の時間を埋めていく紬の切ない気持ちや、登場人物それぞれの心の機微を丁寧に描いていく。川口をはじめとする俳優陣の演技力の高さや心に響くセリフが多くの反響を呼び、毎週SNSのトレンドを独占している。
第3話で最も注目を集めたのが、紬の現在の恋人であり、想の親友だった戸川湊斗(鈴鹿央士)の思いだ。再び距離が縮まっていく紬と想、誰にも相談せずに難聴を患っていた想、すぐに想を受け入れて手話を覚えられた紬への湊斗の思いとは――。
さまざまな感情を抱える湊斗を演じる、鈴鹿央士に作品について聞いた。
――撮影が進むにつれて、オリジナルドラマを作っていくことへの楽しさや難しさはどのようなところに感じていますか?
原作がある作品だと、ある程度次のストーリーが決まっている分、演じる人物の感情をどの程度出していくかを調整することができるんです。でも、オリジナル作品では結末が見えていないので、「何話のこのシーンまでに、この程度まで感情を持っていこう」というように自分の中での計画が立てられない。そういったシーンとシーンの行間を埋めていく作業は難しいです。でも、撮影をしながらどんどん変更していく様子は、“生ものなんだな”という感じがして楽しいし、役の幅が広がっていくことを感じられるので面白いです。
――先週の3話では、湊斗の複雑な気持ちが入り混じっていました。
本当に、複雑な人間ですよね。湊斗は、紬と一緒にいる間も「一緒に居られて幸せ」という感情だけではなくて、プラスもマイナスもいろいろな感情を持って接しているんだと思います。この間、スタッフさんと話していた時、「湊斗が普通の顔をしている時ってないよね」という話になり、「確かに!」と気が付いたんです。湊斗は、それくらいずっと自分以外の人のことを考えているんだと思います。
――主題歌「SubTitle」を歌われているOfficial髭男dismの小笹大輔さんが、SNSで「#鈴鹿央士くんを幸せにしたい」というハッシュタグで発信されてから、視聴者の皆さんもつぶやかれていましたね。
皆さんがそうしたハッシュタグを作ってくださったみたいで、うれしいです(笑)。でも、僕自身は幸せなので安心してください!
――湊斗は「主成分優しさ」と言われるほど、優し過ぎる人間です。鈴鹿さんが湊斗を分析するとしたら、100%のうち「優しさ」は何%くらい?
う~ん…。優しさ95%、自分のこと5%ですかね。湊斗の優しさって、その場その場のものではなく、ずっと誰かのことを思っているからこそ出てくる優しさだと思うんです。2話で湊斗が、紬の大好きなコンポタ(コーンポタージュスープ)をカバンから出してきたり、紬の好きな動物のパンダが落ちる動画を見つけてあげたりしていましたけど、あの優しさは常日頃から紬のことを考えていたからこそ出てきたもの。
それは想に対しても同じなんですよね。高校時代に自分がキューピットになってつながった、大好きな人と大好きな友達。2人が付き合うことは、湊斗にとってすごく良いことなんです。もちろん、湊斗には“紬と付き合いたい”という気持ちもあるけれど、大好きな2人が結ばれることで自分も満足するというか。そのことでネガティブな気持ちにはならない人なので、やっぱり湊斗の優しさは100%なのかもしれませんね。
――今作のキャラクターは当て書きだと伺いました。湊斗を演じるに当たり、ご自身との共通点は感じていますか?
僕は、よく「うん」という言葉を使うみたいで、台本上にもたくさん「うん」というセリフが書かれてあったんです。確かに「うん?」という相づちをよく使うんですけど、プロデューサーの村瀬(健)さんが「それがすごくいい」と言ってくださったんです。でもそう言っていただくと、どんどん自分の「うん」が気になってきちゃって!(笑) 最近はナチュラルに出せるようになってきたと思いますが…。5話で、物を音で表現するシーンもあって。“それは僕も時々やるな”と、さっき演じていて思いました(笑)。
――4話を目前に、楽しみにしている視聴者の皆さんへのメッセージを!
想と再会することで、清らかで完璧ではない湊斗の人間くささがどんどん出てくると思います。湊斗がため込んでいたものや苦しんでいた思いを紬と共有して、想とどう接していくか…。やっと湊斗と想が出会えたので、ここから3人の関係がどうなるのか楽しみにしていてほしいです。そして湊斗は優しいままです、ずっと。どうか今後も優しく、見守っていてください。
Profile
すずか・おうじ 2000年1月11日生まれ、岡山県出身。「MEN’S NON-NO」モデル。近年の出演作に「クロステイル~探偵教室~」(フジテレビ系)、「六本木クラス」(テレビ朝日系)など。映画『ロストケア』が来年3月に公開。
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