先般、PARCO劇場にて６月８日（水）からの上演が決まった鄭義信・作・演出、生田斗真主演による舞台「パルコ・プロデュース2022『てなもんや三文オペラ』」。このたび、個性派俳優たちが勢ぞろいのオールキャストが発表され、併せてメインビジュアルが公開となった。

本作の原作となる『三文オペラ』は、1928年に初演された差別と貧困、資本主義社会を痛烈に風刺した音楽劇の名作。これまでもさまざまな演出家とキャストによって上演されてきた『三文オペラ』だが、鄭が選んだ今作の設定は50年代の大阪。原作の舞台・ロンドンの貧民街は、第二次世界大戦で破壊された大阪砲兵工廠（現在の大阪城公園・森ノ宮地域にあった大規模な兵器工場）の跡地に置き換えられている。その名も『てなもんや三文オペラ』！　戦後を駆け抜けるアウトローたちのパワーと、生きることへの貪欲さ。戦争を背負いながらも、たくましく生き抜いてきた当時の人間模様を重ね合わせる。

主人公である盗賊団のボス、マック（通称:マック・ザ・ ナイフ）を演じる生田を取り巻くオールキャストが決定した。

生田と対立関係にある「乞食の友商事」社長・ピーチャム役には、渡辺いっけい。その妻シーリア役には根岸季衣。マックの古くからの盟友でありながらピーチャムに脅され、マックを逮捕しようとする警察署長のブラウン役には福田転球。マックの昔なじみでありながら、ピーチャムにそそのかされてマックを裏切る”娼婦”のジェニーに福井晶一。ブラウンの娘でマックの子を身ごもっているルーシー役には平田敦子など、実力派、個性派のベテラン俳優たちが勢ぞろいした。

生田のお相手“ヒロイン役” には、舞台初共演となるウエンツ瑛士が決定！　原作版では女優が演じる役で結婚式やラブシーンも…!?　独自の世界観で人間模様を描き出し見事な手腕を発揮する鄭が、今回の『てなもんや三文オペラ』でも舞台を昭和30年代の大阪に移し大胆な翻案を試みている。中でも特筆すべきなのが、原作ではピーチャムの一人娘・ポリーという女優が演じるこの役を一人息子・ポールという役に置き換えていること。 生田演じるマックと対立するピーチャムの息子でありマックの恋人であり結婚までするポールを、ウエンツがどう演じるか注目だ。

生田とウエンツとは、お互いが小学生の頃にNHK教育テレビ番組「天才てれびくん」で共演して以来の朋友。ウエンツは「生田斗真とは、小学生の時から学校の友達とは別の形の絆がある。『てれび戦士パワー見せようぜ！』と連絡をもらい、喜びと同時に、彼の座長としての責任感を学び、少しでも彼の力になれるように一緒に引っ張っていけるように頑張りたいという気持ちになりました」と意気込みを語った。

生田も「時を経て、大人になって、一人の俳優同士として再会できるのはうれしい。こんな未来って想像してしなかったなというドキドキ感もありますし、まさかの恋人役です（笑）。でも、古くからの友人でもありますし、遠慮なくぶつかっていけるんじゃないかなと思います。この舞台が上演されること、本当に本当に楽しみに、この日を心待ちにしていました」 と互いに気合は十分。舞台上での息の合ったパートナーぶりにも期待が高まる。

オールキャスト発表に併せて、メインビジュアルも公開された。和洋折衷、戦後の混沌とした世界の中でもたくましく、厚かましくエネルギッシュに生きていたあの頃の人たちをイメージし、ギラギラと濃過ぎる仕上がりになっている。音楽劇ならではのにぎやかさや華やかさも感じられるメインビジュアルとなっている。

公演は６月８日（水）～30日（木）まで、東京・PARCO劇場にて。以降、７月９日（土）～11日（月）まで福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホール、７月16日（土）～24日（日）まで大阪・森ノ宮ピロティホール、７月30日（土）、31日（日）新潟・新潟テルサ、８月６日（土）、７日（日）長野・サントミューゼ 上田市交流文化芸術センター 大ホールにて。

なお、３月16日に東北地区を中心に発生した地震の影響により、７月４日（月）、５日（火）に予定されていた宮城公演は中止となっている。