2010年につかこうへい氏がこの世を旅立ち、十三回忌を迎えた今年、「つかこうへい十三回忌特別公演」の『「新・熱海殺人事件」ラストスプリング』が、3月31日に聖地である東京・新宿の紀伊國屋ホールで幕を開けた。
キャストは“東京警視庁にその人あり”といわれた木村伝兵衛部長刑事に、味方良介。捨て身の潜入捜査を行うヒロインの水野朋子警官に、新内眞衣。東京警視庁に転任してくる熊田留吉刑事に、高橋龍輝。犯人・大山金太郎に、一色洋平 。
演出は、11年から12年にわたり紀伊國屋ホールでの『熱海殺人事件』をプロデュースし続けている岡村俊一が手掛けている。
初日公演を前に、一部シーンの公開と舞台あいさつが行われ、味方、新内、高橋、一色の4人が登壇。初日を迎えた感想、つか作品へ出演することへの思いなどを語った。
17年から21年の4シーズンを通して同役を演じてきた味方は「木村伝兵衛演じるのは今回で5回目になりますが、木村伝兵衛というのはみんなに支えられて、みんなに持ち上げられて生きていける存在なんだなというのを感じてます。僕一人の力では絶対に作品はできないし、この4人プラス携わっている全ての人がいて、やっとこの『熱海殺人事件』という作品が続いているんだなと毎度感じています。そして十三回忌に当たって、ここ紀伊國屋ホールで木村伝兵衛を、そして主演をやらせてもらえるということはとてもうれしいことです」と語った。
元乃木坂46のメンバーで、グループ卒業後初舞台の新内は2度目の水野役に挑む。「久々の舞台ですごく緊張をしています。水野朋子役はグループに在籍をしていた時のラストの作品ですし、今回はグループを卒業後に初めてやる作品。私にとってはすごく思い入れのある作品になる予定なので、精一杯頑張りたいです」と意気込みを口にした。
つか作品、そして岡村演出の作品には欠かせない存在の髙橋は、「念願の『熱海』に出演できて本当にうれしく思います。最後まで頑張っていきたいと思います。僕は7、8年ぶりに紀伊國屋ホールで演じさせてもらうんですけども、何度も何度も『熱海殺人事件』をここで見て、いつか出たいなと思っていたので、今回出ることになって本当にうれしく思っています。いろんな人に熱い思いを、生きる素晴らしさを届けられたらなと思ってます」と聖地に立つ喜びを感じている様子。
小劇場から2.5次元まで幅広く活躍する一色は、「4日間という短い限定的な『熱海』なんですけど、幻の『熱海』と言われるように、若手で新しい『新・熱海殺人事件」を作りたいと思います。この新しい紀伊國屋ホールで不朽の名作をやれて、その仲間入りをさせていただけることは非常にうれしく、身の引き締まる思いです」と、客席を見渡し、今の思いを述べた。
なお、公演は4月3日(日)に閉幕。