NON STYLE・石田明が構想4年をかけて、オリジナル脚本・演出を手掛けるNEW STYLE舞台『結 −MUSUBI−』。ノンバーバル(言語を使わない)作品という、今までにない“しゃべらないけどうるさい”感覚を届ける舞台となっている。今回は物語の主人公である伝説の横綱・雅ノ富士の四男「雅ノ花」を演じる、劇団EXILEの小野塚勇人にインタビューを実施。小野塚が新境地に挑む思いとは…?
――出演が決まった時の心境は?
まず、新しいジャンルというんですかね? ストレート、ミュージカル、2.5次元とかってジャンル分けされることが多いですが、ノンバーバルコメディーって、言葉の力を使わないで言葉以外の表現を使ってやるジャンルなんです。ノンバーバルなだけでも難しいですけど、さらにコメディー作品でもあるということで、より難しそうだなと思いました。今まで言葉に頼ってた部分を、動きだけで伝えていかなきゃいけないので。ただ、この作品が終わった後に「いい経験だな」って思えるような舞台になると確信しています。
――これまでノンバーバルコメディー作品に触れたことは?
ありませんでした。「ノンバーバルってなんだ?」って調べたくらいのレベルだったので。なんとなく、チャップリンやMr.ビーンのようなことなのかなってイメージはしていたんです。でも、それは何十年も前のお話なので…。現代にやるものとして、まったく違ったものになると思いますし、自分がそれを体現できる立場になれるのがすごくうれしいです。
――未知のものに挑戦するわけですが、今はどんな心境ですか?
不安もあるんですけど、どちらかというと、ワクワクとドキドキ…楽しみな気持ちの方が強くて。やったことのないことをやるって、最初は大変だったりするんですけど。僕はミュージカルに昨年初めて挑戦させていただいて。それがすごく自分の糧になったと思っていて。ミュージカルの時は不安だらけでしたけど、それを乗り越えてからは新しいものへ挑戦することに対する抵抗がなくなったというか、むしろ楽しみながらやろうっていう気持ちになっている気がします。僕はコメディーが好きなので、遊び心を持って挑めたらと思っています。
――石田さんとはどんな話を?
「楽しく作っていこう」と話しました。稽古を重ねる中で変わることもいっぱいあるし、「そっちの方が面白いじゃん」ってなったらそこに身を任せていこうと。結局、台本はあくまで“指標”なので、それにばかり縛られずに脱線してもいいし、最終的にそのガイドラインを使って良くしていけばいいんじゃないかというふうに話しました。最初のうちはとにかく膨らませて、面白いことをいっぱいやっていく作業が大事だなと思うので。瞬発的に得たもの一つ一つを、大事にしていきたいなと思っています。
――セリフがない舞台の台本は、どのように書かれているのでしょう?
ずーっとト書きですね(笑)。永遠とト書き。ここで誰がこういう動きをして、こんな感じで怒りだす…とか。なんせセリフがないですから(笑)。
――アドリブも大事になりそうですね。
そうですね。今回は共演者にお笑い芸人さんもいらっしゃるので、「決まったものが飛んでくるわけじゃない」と思っていないといけないなと。そういうイレギュラーなことすらも楽しみたいと思いますし、僕自身も「イレギュラーなことを起こしてやろうかな!?」くらいの気持ちでいたいですね。
――今回、キャストがジャンルレスな顔ぶれですね。
それが面白いなって思います。もちろん、ストレートプレイを中心にやっている人だけを集めても面白くはなると思いますけど、2.5次元舞台の俳優さんたちが強みにする表現もあると思いますし、それぞれやってきた作品やジャンルで芝居のスタイルって変わってくると思うので。それが土俵の上でぶつかり合うというか、それこそ相撲のぶつかり稽古じゃないですけど(笑)、そういう意味でいろんな化学反応が起こせたら最高だなって思います。
――しかも、皆さん初共演の方ばかりですね。
そうですね。みんな初めてです。芸人さんとかはもう、ビジュアル撮影の時からすでに面白くて、これは楽しい現場になりそうだなって思いました。でもやっぱり、俺が芸人さんっぽいことをしたら寒いと思うし、良さは生かせないと思うので。そこは自分らしさを貫こうと思っています。「雅ノ花だったらこういうことするよな?」って考えられる部分はそうしますが、残りの半分は演じる俺自身の要素も入れていけたらなと。
――セリフがない分、キャラ表現が難しそうだなと感じたのですが、役作りはどのように?
雅ノ花は相撲部屋4兄弟の末っ子でお調子者。すごく要領よく生きてる人間なんですよね。先生が見てる時はちゃんと稽古してて、見てない時はサボってる…みたいなキャラクター。どこか憎めない、愛きょうのある性格なんです。そういうところを出していけたらいいなと思います。でも俺自身も男3兄弟の末っ子だったりするので、兄弟構成的に「こういう感じね、分かる分かる」みたいなことが多いんですよ。だから、自然に出てきたものをやるっていうのも面白いなって思ってるんです。