3月20日に東京・本多劇場にて、赤堀雅秋の1年ぶりの新作公演となるM&Oplaysプロデュース『白昼夢』が開幕した。現代社会になじめず引きこもりとなってしまった中年男性とその兄、父親。落ちこぼれてしまった者たちのもがきと再生、「それでも生きてゆく」日々を5人の俳優たちが濃密な人間ドラマとして描き出す舞台だ。出演は三宅弘城、吉岡里帆、荒川良々、風間杜夫。赤堀は作・演出に出演もする。初日公演を前に、赤堀、三宅、吉岡からコメントが届いた。
[赤堀雅秋コメント]
なかなか手強い戯曲で正直演出に手こずりましたが、スタッフ、キャストの尽力のおかげでイメージ通りの作品になったと思います。三宅さんは、以前共演した時と変わらず本当に真摯(しんし)に取り組んでくれています。吉岡さんは今まで出会った女優さんの中でとりわけガッツがあり、そして素直な感性が素晴らしい。荒川さんは、コメディーリリーフ的な印象が強いですが、今回は生々しい存在感に驚きました。風間さんは、とにかくすごい。その一言です。久しぶりの物作りの現場に幸せを感じる毎日です。とにかく無事開幕して、何事もなく千秋楽を迎えることを祈るのみです。生々しい人間がたたずむ姿を、その呼吸や汗や涙を、劇場に来て感じてほしいです。
[三宅弘城コメント]
赤堀さんの演出の下、不器用ながらも一生懸命生きている5人のヒリヒリした物語が完成しました。純粋な演劇は1年ぶりなので、お客さまの前に立てる喜びと、念願だった赤堀作品に出演できる喜びをかみしめています。赤堀作品は空気感がとても好きで、その空気感をつくっているものが一つの感情ではなく、その人間がいろんな感情を感じ、思い、背負いながらそこで生きることで舞台上の空気がうねっていたんだなと、やってみてその難しさが分かりました。そして、だから面白いんだと再確認しました。演劇を見ると豊かになるんです。このご時世ではありますが、僕らが舞台上で懸命に生きている姿を見て「それでも生きてゆく」と、お客さまにも感じていただけたらと思います。
[吉岡里帆コメント]
以前から赤堀さんの作品には引かれていて、いつかご一緒することが念願だったので、お話を頂いた時はとても怖くもありましたが(笑)、うれしかったです。稽古を経て、この作品の演劇でしかできない温度感や生っぽさを感じて、赤堀さんとご一緒できたことが自分の人生においてとても財産だなと思いました。『白昼夢』は、本多劇場ととても相性のいい作品だと思います。登場人物の心の機微みたいなものがダイレクトに伝わると思うので、ぜひ肌で感じて楽しんでいただきたいです。
公演は4月11日(日)まで同所にて。その後、富山、大阪、島根、広島、愛知公演あり。
撮影◎宮川舞子