稲垣吾郎主演の新作舞台『サンソン-ルイ16世の首を刎ねた男-』の上演が決定した。18世紀のパリに実在した“死刑執行人”サンソンの物語。今年4月から6月にかけて東京、大阪、福岡にて上演される。
歴史にさんぜんと輝くフランス革命、その真裏で同時に進行していた知られざる真実。 ロベス・ピエール、マリー・アントワネット、ルイ16世……彼らの首をはねたのは、たった一人の男だった。 宿命と戦いながら生き抜いた孤高の物語。
物語の主人公“死刑執行人”シャルル=アンリ・サンソンを演じるのは稲垣。今年1月に『No.9-不滅の旋律-』で3度目のベートーベン役を演じ、人々の記憶に“稲垣吾郎ベートーベン”が定着したかと思う間もなく、今度はこの死刑執行人という新しい役柄を演じる。死刑執行人という運命を生きるサンソンの内面にうごめくのは筆舌に尽くし難い「葛藤」。冷静沈着さの奥底で、人間の存在の生死にまつわる「葛藤」を稲垣が全身全霊で表現していく。
サンソンを取り囲む共演者も魅力いっぱいだ。フランス革命の中心ともいうべきルイ16世を中村橋之助が演じる。歌舞伎界を代表する若手の一人として中村はここ数年、歌舞伎以外の舞台作品に積極的に参加し、伝統と革新を常に思考する俳優として活躍している。さらに現代の若者の繊細な時代性を表現するときに不可欠な存在として橋本淳。2.5次元作品を中心にミュージカル&演劇で活躍中の牧島輝。映画、テレビドラマを中心に活躍する演技派の落合モトキ。個性的な役柄をシュールに演じてきた藤原季節。演技力をテレビ、舞台で縦横無尽に発揮する清水葉月。今の日本を代表する次世代の若者に期待が高まる。また、白井作品には久々の重鎮・田山涼成、榎木孝明がシャルルの父親役としての大任を果たす。
クリエーター陣も最高の布陣がそろった。演出の白井晃、脚本の中島かずき(劇団☆新感線座付作家)、音楽の三宅純。この3人のクリエーティブチームは、英仏の百年戦争を舞台に、運命の奔流にのみ込まれていくヒロインを描き出した1作目の舞台『ジャンヌ・ダルク』(2010年初演)、楽聖ベートーウベンの半生をその音楽と共に描き出した2作目の舞台『No.9-不滅の旋律-』(15年初演)。3作目が今回の『サンソン』。史実や実在の人物を基に、大胆な発想の飛躍に加え、一度聞けば脳裏に焼きつく心地よいセリフで劇世界を織り上げる中島は、冷静な死刑執行人シャルル=アンリ・サンソンを時代のスペクタクルとして繊細に描き出す。そして、パリを拠点に世界各国のアーティストと数多くのコラボレーションを行ってきた三宅は今回、全編書き下ろしによるオリジナルで挑む。音楽にも美術にも造詣の深い白井が、革命の混沌、群衆心理を一流のクリエーターたちとどう表現するのか。期待が高まる。
[稲垣吾郎コメント]
2015年から3度上演した舞台『No.9』に続き、白井晃さん、中島かずきさん、三宅純さんの手掛ける作品に出演できることをとても光栄に思います。『No.9』で演じたベートーベン同様、今回も歴史上に実在した人物シャルル=アンリ・サンソンを演じます。フランス革命期という激動の時代に、“死刑執行人“という生まれた時から決められた決して抗うことのできない運命を受け入れ、悩みながらもその仕事にプライドを持って生きてきた人物です。どれだけの重圧を負っていたのか、今はまだ計り知れませんが、これから稽古を通して創りあげていくことで新しい自分と出会えることが楽しみでもあります。歴史の中で苦悩したサンソンの気持ちに寄り添い、伝えていきたいと思っています。このような時代だからこそ、サンソンを通じて厳しい運命の中でも目を背けずに希望を見いだす姿を皆さまにお届けできればうれしいです。
公演は4月23日(金)~5月9日(日)東京・東京建物 Brillia HALL、5月21日(金)~24日(月)大阪・オリックス劇場、6月11日(金)~13日(日)福岡・久留米シティプラザにて。