1974年にテレビアニメ第1作が放送され、「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」「宇宙戦艦ヤマト2」なども制作されてきたオリジナルシリーズをリメイク。「宇宙戦艦ヤマト2199」「2202」「2205」と続いてきたリメイクシリーズの最新作「ヤマトよ永遠に REBEL3199 第四章 水色の乙女」が上映中。
ガルマン・ガミラス国家元首総統・デスラー役を演じる山寺宏一にインタビューを実施。
デスラーに寄り添って演じてきた山寺が、彼の新たな一面にも触れられる第四章の魅力について語ってくれた。
――第三章のラストで衝撃の登場を遂げたデスラー。第四章の台本を読んだ際、まずどんなことを感じましたか?
第三章の最後にチラッと出てきて、そのまま出てこなかったらどうしようって思いながら第四章を迎えました(笑)。ただ、これまでの道のりはわからないことも多かったので、慌てて色々調べて、分からないことはスタッフの皆さんに聞いたりしながらアフレコに臨みました。なんせ今回は「ヤマトⅢ」と「ヤマトよ永遠に」をモチーフに再構築しているお話でしょう? もともと「ヤマトよ永遠に」にデスラーは出ていないので、一体どうなるのだろうか…と思いつつ、まずは出られてよかった!と。そして古代とのシーンもあってよかったです。

――第三章はラスト、満を持しての登場。その際はどんな思いで挑まれたのですか?
やはりその時も、自分なりに物語や登場人物を理解していく作業が必要でした。まずはサーシャについて。17歳になったサーシャとのシーンがあるけど、これはどういうこと?ということから。いまだに時空結節点の複雑さに唸っていますよ(笑)。一生懸命、デザリアムのアルフォンとカザンが説明してくれる言葉など、台本にちりばめられた手がかりを自分なりに探って、分からないところは都度聞くという形でした。どちらかというと、出来上がりを見て「そうか、こうなっていたんだ」って後からより深く作品を知るような感覚のほうが大きかったかもしれません。実際、デスラーもよく分かってない部分もあると思うんでね。もちろん大方の情報は掴んでいるのでしょうけども、彼は地球に行かないので(笑)。とはいえ、デスラーですから。1聞いて100理解する能力があるので、僕もそうなればいいのに…と思っていました(笑)。
――『宇宙戦艦ヤマト2199』でデスラーを受け継ぐにあたって、スタッフの方々と具体的にどういう話し合いがあったのでしょうか?
一番最初は、やはりどんな感じで演技をするかってことですよね。「いや~伊武(雅刀)さんのような声は出ないですよ」って話したのを覚えてますね(笑)。ビジュアルも、オリジナルシリーズとはかなり変わっていますし。ちょっと若くなったんじゃないかってくらい、より美しくなって。その中で、「山寺さんが思っている、大好きな伊武さんの低音で、淡々と感情を込めず、そしてカリスマ性がある…そんなデスラー像を踏襲してほしい」ということだったので、必死に演じました。それは今作でも変わりません。あとは常に、この素晴らしい脚本…僕がいただいているセリフに素直に向き合うということを大切に。あんまりいろんなことを意識しすぎるとおかしなことになっちゃうし…キャラクターを演じるのは理屈じゃないなと感じます。だから言葉に表すのは非常に難しいですね。毎回、戦いの連続ですよ。
――キャラクターがより立体的に描かれているリメイクシリーズ。山寺さん自身、デスラーを演じながら心を動かされる部分もありましたか?
もちろんありました。特に『2202』で描かれた、少年から青年に成長していって、初めてガミラスの民に向かって話す回想シーンは思い出深いです。そういったシーンが入ることで、よりデスラーを理解することができた感じがします。それに、『2205』ではスターシャとのシーンもしっかりと描いていただき、“ガミラスを救わなければいけない”という部分も強調されました。ガミラスのために強くて冷徹な自分でいなきゃいけないという葛藤、スターシャへの愛、その両方をしっかり描いてくださったので、その後にやってくるヤマトや地球、そして古代たちと共闘するシーンの気持ちが作りやすかった気がします。

――デスラーの人物像がよりクリアになっていったんですね。
もともと愛というものを知らない人ではないんですよね。幼い頃からスターシャへの愛を深く持っていた。そういう意味では、お兄さんに比べて国を統治するような器ではなかったのかもしれないとも思うんですよ。ただ国を守る使命感に動かされて、自分を強くしていったから、無理もしていたんじゃないか?とかね。もちろん、もともと統治能力はあって、カリスマ性も簡単に作れるものではない。でもその一歩を踏み出す理由はスターシャへの愛だったので。だから今作(第四章)ではちょっと丸くなりすぎたんじゃないかぐらいの雰囲気があるかもしれません(笑)。“和”や“協調”をヤマトから学んだ彼ですが、以前ならボタン一つで部下を殺していましたから。それだって、無理してなかったかな?と思いますし。そういう意味では、きっとデスラーに共感してくださる方もいるんじゃないかなと思います。
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