日本の芸能をこよなく愛する男・高橋英樹と、古典とは無縁に生きてきた女・大久保佳代子が、体験や「へぇ~!」と思わず言ってしまうような情報を通じて、日本の古典芸能の面白さを伝えていく「芸能きわみ堂」(NHK Eテレ)。4月7日(金)の初回放送を前に、収録を終えた高橋、大久保、そして司会を担当する庭木櫻子アナウンサーが見どころを語ってくれた。
――「芸能きわみ堂」への出演が決まってのお気持ちを教えてください。
大久保 最初にマネジャーさんからお話を聞いた時は、「ラッキー!」と思いましたね。私、本当に趣味がなくて。50、60と年を重ねていく中で、興味を持って楽しい時間を過ごせる趣味がないかなと思っていたところだったので、お金を頂いて古典芸能を勉強できるのはラッキーだなと(笑)。番組で学んだことが、プライベートでも生かせればいいなと思っています。
高橋 前身番組の「新・にっぽんの芸能」にも出演していたので、引き続き古典芸能の世界をご紹介できることはとてもうれしいです。私自身もその中で勉強できますし、趣味と実益を兼ねたいい番組だなと。ぜひとも、たくさんの方に興味を持ってご覧いただけたらと思います。
庭木 このような古典芸能番組はもっと経験も実力もある先輩アナウンサーが担当されるイメージでしたが、このメンバーに混ぜていただけたので、少しずつ大人の知識や教養を身に付けていけたらと思っています。私も30歳になりましたので、同世代の同じ思いを持っている方にも見ていただけるような番組にしたいです。
――初回収録を終えての感想を聞かせてください。
大久保 スタジオの収録とは別に、「日本舞踊のお稽古をしよう」というコーナーがありまして。今回のテーマが「日本舞踊のエロスという表現とは」と、私に合わせてくれたのか、すごく分かりやすいところからやってくださったので、最初はとても楽しんでいました。ただ、その稽古がだんだんハードになっていって、日本舞踊の大変さが分かって。正直、「こんなはずじゃなかったのにな…」とは思いました(笑)。それでも、スタジオでの収録では英樹さんのお話を聞けたり、櫻子さんとキャッキャしたりしたところもありまして、楽しく和やかにやらせていただきました。
――特にお稽古のどの部分がハードだったのですか?
大久保 お稽古自体は日本舞踊の「藤娘」をある程度覚えて、衣装、カツラ、小道具を全部身に着けて踊ることがゴールでした。ただ、50歳を過ぎているので関節が動かなくて。日本舞踊はちょっと腰をかがめたり、内股にしたりが多く、常に筋トレしているような状況でしたし、記憶力が落ちている中で振りを覚えないといけなくて大変でした。そんなド素人に、本気の先生が指導してくれて、本気の白塗りをしてくれて、本気の着物を着せてくれて、本気のカツラを被らせてくれて。日本舞踊に関わる皆さんの「日本舞踊が大好き」「古典芸能が大好き」という気持ちはひしひしと伝わってきました。だから、なんとか成功したい気持ちがあり、でもうまくできない自分に半ギレしました(笑)。
高橋 大久保さんが初めて古典芸能に触れて、体験という形で日本舞踊をおやりになると聞いた時は、「あらま大変」と思いました。肉体を使い、神経を使い、体中バラバラになる思いをしながらとんでもない世界へ入っていくんじゃないかという気持ちがしております。
大久保 そんな感じなんですか? 今初めて聞きましたけど(笑)。
高橋 そんな姿を、逆に私たちは楽しみたいと思っています。確かに古典芸能の世界は簡単なようでお稽古が厳しいという部分がありますので、そこも正しく伝えていきたいです。
庭木 この番組の企画書のようなものを見たときに、「日本舞踊のお稽古をします」「最初のテーマはエロス、色気です」と書いてあって。これまでのNHKの古典芸能番組のイメージとは違い、大胆だなと驚きました。でも実際に収録してみると、日本舞踊が大切にしている“奥ゆかしさ”や日本人が大切にしてきた心もきちんと伝わってくるんです。従来のNHKの古典芸能番組に親しんでくださっていた方々も「これからちょっとのぞいてみようかな」と思っている方々にも楽しんでいただけるような番組になっていますので、ぜひどんなものが飛び出してくるのか、楽しみに待っていただけたらうれしいです。
――挑戦してみたい、または紹介したい古典芸能はありますか?
高橋 古典楽器ですね。三味線だけでも長唄、常磐津節、新内節といろんなジャンルがありますし、琵琶を聴く、太鼓の世界にスポットを当てるといった、個々の楽器を深く掘り下げていくのも面白いのではと思っております。
大久保 比較的なじみがある落語ですかね。大学の時に一度だけ、お笑いサークルで「町内の若い衆」というちょっとお色気のある落語を覚えてやった記憶があって。ただ、その時は素人だったので、多少人前でしゃべられるようになってからやるとどんな感じになるのかなと。
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