天才役者とその代役という特異な関係性を鮮烈に描き、第23回文化庁メディア芸術祭マンガ部門で優秀賞を受賞した野田彩子の漫画「ダブル」の舞台化が決定した。和田雅成と玉置玲央のW主演で、4月に紀伊國屋ホールにて上演する。
天性の魅力で徐々に役者としての才能の開花させていく宝田多家良役に舞台『刀剣乱舞』『風都探偵 The STAGE』、映像作品でも活躍が目覚ましい和田。その才能に焦がれながらも彼を支える鴨島友仁役に現在出演中の彩の国シェイクスピア・シリーズ『ジョン王』で存在感を発揮し、2024年大河ドラマ「光る君へ」(NHK)への出演も決定した玉置。互いに「世界一の役者」を目指すライバルでありながらも、どうしようもなく引かれ合う二人の関係を繊細かつ大胆に演じる。
さらに、彼らの俳優仲間である轟九十九役にはミュージカル『新テニスの王子様』やミュージカル『憂国のモリアーティ』などで知られる井澤勇貴が名を連ねる。他にも護あさな、牧浦乙葵、永島敬三の出演が決まっている。
脚本には、現在上演中の劇団四季オリジナルミュージカル『バケモノの子』の演出や『極付印度伝 マハーバーラタ戦記』で歌舞伎に新作を書き下ろすなど演出家、劇作家として多岐にわたり活躍する青木豪。演出には劇団・柿喰う客の代表で、第57回岸田國士戯曲賞候補になった『無差別』や舞台『文豪ストレイドッグス』シリーズなどで知られる中屋敷法仁。演劇界を代表する俳優とクリエーターが集結し創り上げる舞台『ダブル』に、ぜひご期待を。
[和田雅成コメント]
宝田多家良役の和田雅成と申します。自分は多家良のような天才ではありません。何かに、誰かに、ここまで依存できたこともないかもしれません。自分にないところだらけです。 正直なところ、今はこの役と向き合うのに怖さすらあります。でも舞台に立ちます。まだ何もない状態なので大したことは言えませんが、ただただこの役と作品に向き合って、 その瞬間を精いっぱい生きたいと思います。
[玉置玲央コメント]
舞台『ダブル』で鴨島友仁を演じます、玉置玲央です。この作品が舞台化するなら友仁をやるのは自分しかいないと思っていたので、今回このような機会を頂けたことは非常にうれしいです。鴨島友仁は『演じる』ということに対して現実の人間と全く同じく葛藤している。渇望している。絶望している。希望を見いだしている。その激情を、原作を読めば読むほど友仁からひしひしと感じました。だから、この役をやるのは自分しかいないと思ったんです。あまりにも分かる。多家良に対する思いも。座組一同、誠心誠意取り組ませていただきます。劇場でお会いできますように。
[井澤勇貴コメント]
この漫画の登場人物たちと何かの作品でご一緒するのではないかと思ってしまうほど、演劇に対する思いや芝居に対する情熱がリアルに描かれていて同じ演劇という世界に身を置く立場として嫉妬を、そして感動を覚えてしまう作品でした。舞台にする上で心掛けたいのは、俳優陣はこんなことをやっているんだ!と提供することはしたくない。一つの舞台を見ていただくというより、芝居だけど芝居じゃないリアルな人生を届けたいです。
公演は4月1日(土)~9日(日)まで、東京・紀伊國屋ホールにて。
©野田彩子 / ヒーローズ ©ネルケプランニング/ゴーチ・ブラザーズ