12月に東京・PARCO劇場、2023年1月に大阪・森ノ宮ピロティホールにて、ジャニーズWESTの神山智洋主演舞台パルコ・プロデュース2022『幽霊はここにいる』が上演される。
作品は安部公房さん作の『幽霊はここにいる』。阿部さんは芥川賞をはじめ数多くの賞を受賞し、劇作家としても多数の作品を発表した昭和を代表する作家で劇作家だ。演劇集団「安部公房スタジオ」を立ち上げ、自身で作・演出を手掛けるほか、俳優の育成など演劇活動にも積極的に取り組んでいた。
PARCO劇場(当時の名称は西武劇場)では73年のオープニング記念公演『愛の眼鏡は色ガラス』をはじめ、安部さん作・演出作を数多く上演、このたび43年ぶりで上演することとなった。
演目の『幽霊はここにいる』は58年に千田是也演出、田中邦衛主演で俳優座劇場にて初演、岸田演劇賞を受賞し、翻訳版がヨーロッパなど世界各国でも上演され、国内でもたびたび上演されている傑作戯曲。「前衛的」「不条理」「超現実的」といった言葉で表現されるナンセンスに満ちた喜劇的作品であり、コーラスなど音楽的要素も効果的に取り入れたエンターテインメント要素の強い作品でもある。
演出は、PARCO劇場初登場となる文学座の若手で注目の演出家、稲葉賀恵。翻訳古典劇から日本の近現代劇までさまざまな戯曲と真摯に向き合い、その丁寧な演出で高い評価を得ている気鋭の稲葉が、PARCO劇場で新たな歴史を刻む。
本作の主人公で、幽霊を連れていて会話ができるという謎の男・深川啓介を演じるのは、ジャニーズWESTとしての活動に加えて舞台にも定期的に出演し、昨年『LUNGS』で二人芝居に挑み高い評価を得た神山。演出の稲葉と同じく、本作でPARCO劇場に初登場となる。
戦後の混乱がまだ残る日本のとある町で、深川と出会った男が思いついた怪しげな珍商売「死人の写真 高価買います」。当初は全く相手にされなかったこの珍商売が、町全体を巻き込んだ大事業に発展していき…。
死がかつてない身近さと、実感のなさを伴うようになった現代で、人は「死」とどうやって向き合い、生きていくのか。実体の見えないものでさえ商品になり得る今、この現代にも通じる物語を、稲葉と神山のタッグがどのように描くのか、どうぞご期待を!
[神山智洋コメント]
新しくなる前も含めて、有名で伝統のあるPARCO劇場から、お話を頂いたことは率直にうれしかったですし、新鮮な気持ちです。メンバーに「次の舞台PARCOでやんねん」って話すと、みんなから「えー!」「いいなー。すごいね」って言われました(笑)。先日、2年ぶりくらいに髪の毛を暗くしたらファンの方たちがざわついたんですけど、答えはこれです!(笑)。襟足を伸ばしていたのも、 どんな役にも対応できるように準備をしていました! 僕が演じる深川という人物は、「なんか不思議やなぁ、なんか気になるなぁ」という感じの人。僕は結構ハキハキしているタイプなので、「違ったタイプの人間かな、深川はすごくピュアなんやなぁ」と思いながら、演出の稲葉さんともお話をさせていただきました。僕自身は、戦争のない平和な時代に生まれていて、戦後の日本の状況は分からないけれど、決して遠い話ではないなと。本当に大切な人や仲間を失った時に、「幽霊になっても出てきてくれへんかな」と、今の時代でも思うはず。深川は、親友の死を負い目に感じているし、人間の弱い部分を受け入れられなかったんだろうなと思います。僕は稽古をやりながら考えていくタイプで、周りの人たちの動きやその時自分の気持ちがどう動いたか、ということを大事にしてやっていきたいので、演出の稲葉さんや共演者の方や、いろいろな方たちにご協力、助けていただきながら創っていきたいなと思っています。個人的に、演出家さんは厳しいイメージがありましたが、稲葉さんは全くそんなこともなく、年齢も近いですし、「やってみよー!」というタイプとおっしゃっていたので、お互いパルコ初挑戦ですし、一緒に何度も何度も試して、壁にぶち当たってはよじ登るのか、ぶち壊すのか、共に考えてもらい、力を合わせて頑張っていきたいです。僕は目に見えないものもめちゃくちゃ信じるタイプやし、幽霊もいるやろな、とは思ってますけど、この作品の中の深川の周りの人たちは、疑う人も信じる人もいる。見に来てくださるお客さまにも、深川を信じたり、疑ったりしてみてほしいな。本当にその日その日で感じ方は全然違うと思うし、今生きていることの幸せを感じられる舞台になると思うので、機会があれば、何度か見に来ていただきたいです。
公演は12月8日(木)~26日(月)まで、東京・PARCO劇場 、2023年1月11日(水)~16日(月)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて。