演出家・ウォーリー木下が原案・演出を手掛けた舞台『僕はまだ死んでない』が、2月17日に東京・博品館劇場にて開幕。初日公演を前に公開ゲネプロが行われ、ウォーリー木下、出演の矢田悠祐と上口耕平よりコメントが届いた。
もしもある日突然、最愛の人が、別れを決意した相手が、子どものころからの友人が、息子が、そして自分自身が、倒れて思いを伝えられなくなったら…? 意識はあるのに会話ができなくなったら…?
本作『僕はまだ死んでない』は、病に倒れ“ロックドインシンドローム(閉じ込め症候群)”と呼ばれる意識はあるのに身体が動かせず意思疎通ができない状態になってしまった主人公・直人と彼を囲む幼なじみ・妻・父親・担当医に起こる濃密な人間ドラマ、終末期医療という答えのないテーマを、リアルにかつ時にユーモラスに描いた作品。 世界的に活躍する、いま最も注目すべき演出家の一人であるウォーリー木下の渾身の意欲作だ。
出演は、主人公・直人役とその幼なじみ・碧役を矢田と上口が回替わりで交互に演じる。直人の妻・朱音役に中村静香、父・慎一郎に松澤一之、さらに執刀医・青山役に彩吹真央。
[原案・演出:ウォーリー木下コメント]
緊急事態宣言の中で生まれたVR演劇版『僕はまだ死んでない』から始まって、今こうして生の舞台でお客さんの前で上演できることに喜びしかありません。思っていた未来が閉ざされることはこれから先もあるのだろうと思います。そんな時のことを何度も考えながら作った舞台です。それでもまあこの人生捨てたもんじゃない、と思えるかどうかのヒントが詰まっている作品なんじゃないかなと思います。明確な答えはありませんがそれも楽しんでもらえたら。
[白井直人役/児玉碧役:矢田悠祐コメント]
今回、直人と碧、二役演じさせていただきます矢田悠祐です。この舞台は終末医療、生死についての選択を題材として扱った作品です。 直人、碧共に命について考える役ですので、自分としても初めてこういった事に対して向き合ったかもしれません。ただ、自分にとっても皆さまにとっても他人事ではなくいつかその時が訪れることだと思います。 重たい部分だけでなく、コメディーのようなやり取りもありつつ、そして真面目に考えることのできる作品になっているかと思います。ぜひ劇場でご覧ください。
[白井直人役/児玉碧役:上口耕平コメント]
稽古を重ねるにつれて5人の登場人物それぞれの考え方、思いの色味が濃くなっていく中、それぞれが持つ真剣な愛情が軸として貫かれている作品であると感じています。真剣だから、痛くて、時に美しくて。明日世界がどうなってしまうのか、誰もが未知であるこの時代だからこそ、一緒に考えていくという選択にも大きな意味があるのだと思っています。見てくださった皆さまに疑問を投げ掛けるのとはまた別の、その瞬間に皆さまと手を取り合って明日を見る、そんな時間になることを目指しています。
公演は2月28日(月)まで同所にて。3月1日(火)~4月30日(土)まで、VR演劇版がオンデマンド再配信される。また、3月20日(日)~4月30日まで“舞台版”がオンデマンド再配信される。
撮影◎岡千里