――最近の小野塚さんは攻めまくっていらっしゃる印象です。
攻め攻めですね(笑)。もともと、あんまり守りに入ることないですけど。映像でももちろん攻めた作品はやりたいけど、やっぱり、舞台って自分を試せる場所だと思ってるので。稽古でいくらでも失敗できるし、本番までにちゃんとしたものを提示できればいいので。そういう意味では、自分の最大値や限界値も上がると思うし、表現力も身に付くし。そういう意味でも、舞台に出るときは、より攻めたいなっていう意識はどこかにあるのかもしれないですね。
――修行の場、みたいな感じですか?
そうですね。だから未知数みたいなところがある方が、自分もワクワクします。「これを乗り越えたら、自分にどれほど表現力が付くんだろう?」とか、終わった後の自分の成長を楽しみに待っている自分もいるので。舞台に出ることは、とても大事だなって思います。
――そういう意味で。「JAM」を経て、さらにご自身の中に広がりは生まれました?
それはないですね(笑)。役もそうなんですけど、メンバーの関係値みたいなのもはっきりと出ているし、今の劇団EXILE9人はそれぞれの役割も決まってるので。見てるファンの人とかも、それを分かってるからこその面白さも感じていると思うし、劇団はやっぱりこういう感じになっちゃうんだっていう面白さを再確認できたんじゃないかなと。俺たちはカッコつかないんだっていう…(笑)。
――「くず」も「BIRTHDAY BOYS」もカッコ良かったです。
それは…ありがとうございます(笑)。「BIRTHDAY BOYS」なんて、俺と寛太以外全員30歳半ばですからね(笑)。「腰が痛いなぁ」「ケガしたくないなぁ」って話してたり(笑)。どこの整体がいいとか、鍼やったほうがいいですよとか。「健康センターかよ!」って突っ込みたくなる会話ばっかりですから(笑)。…俺自身も含めての会話なんですけどね。でもそれって、俺にとってはすごく幸せな瞬間でもあるんです。みんなとやってきて10年目ってことは、9年前はみんな20代だったりして。今こうして、一緒に年を取ってる感じが心地いいんです。こうやってみんな年を取っていくんだろうなって、会話しながら思うんですよ。そう考えると、別に“老い”は嫌なことじゃないなって。そういう幸せな瞬間が今回結構ありましたね。
――50歳になっても変わらず一緒に、ですね。
50歳になって「BIRTHDAY BOYS」やってたらヤバイですけどね(笑)。足を上げる代わりに杖を…って、まさかのスティックダンスみたいになってるんじゃないですか?(笑)
――ありがとうございます。では、笑いをテーマにした作品にちなみまして、最近、小野塚さんが腹を抱えて笑ったことを教えてください。
最近涙が出るほど面白かったのは、やっぱり劇団メンバーとのやり取りですかね。楽屋で小澤さんが、鈴木くんがギターで弾いた即興曲に対して、「かたつむり」っていうテーマを出したんです。それを即興で歌うんですけど、その歌詞が即興だとは思えないくらいの素晴らしい歌詞で。「小澤さんにそんな才能もあったんだ?」って思ってめちゃくちゃ笑った覚えがありますね。「そんなことできるの? 小澤さん!」みたいな。ちゃんとかたつむりの視点から見た景色とかが歌詞に盛り込まれていてすごいんですよ。小澤さんって天才だなって思いましたね。…まぁその後、俺もやらされましたけど。きっと腹抱えて笑ってることって結構あるんだろうけど、くだらなさ過ぎて思い出せないです(笑)。
――では最後に、小野塚さんの新境地を楽しみにしているファンの皆さんにメッセージを。
作品のクオリティーは絶対に下げたくないですし、石田さんが求めている以上のものを皆さんと一緒に作っていきたいと思ってます。どんな笑いになるか分からないですけど。声が出せないとかいろんな制約がある中で、笑い声は聞こえてこないんだけど、客全体の肩震えてるみたいな状態があってもいいだろうし(笑)。何が正解かは俺も分からないですけど、見た後に「すごく面白かった」とか「すごく楽しかった」とか、幸せな気持ちや明るい気持ちになってもらえる舞台にできたらいいなと思ってるので。ぜひ大笑いしに来ていただきたいです。よろしくお願いします!
おのづか・はやと 1993年6月29日生まれ、千葉県出身。最近の主な出演作にミュージカル『INTERVIEW〜お願い、誰か僕を助けて〜』、TXT vol.2『ID』、『演技の代償』、劇団EXILE公演『JAM-ザ・リサイタル-』など多数。
『結 −MUSUBI−』
脚本・演出: 石田明(NONSTYLE)
出演;小野塚勇人(劇団EXILE)、株元英彰、廣野凌大、杉江大志、中村里帆、久保田創、守谷日和、瀬下豊(天竺鼠)、石田明(NON STYLE)
東京公演:2022年2月4日(金)~6日(日)渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール