太宰治の小説「お伽草子」を原案とした舞台『カチカチ山』が10月4日（日）に、『浦島さん』が10月5日（月）にそれぞれ東京・東京建物Brillia HALLにて開幕。5日に福士蒼汰と宮野真守が出席して、初日開幕囲み取材が行われた。

舞台『浦島さん』『カチカチ山』は、株式会社ヴィレッヂの主軸である劇団☆新感線公演がコロナ禍のあおりを受けて春と秋の公演中止を余儀なくされ、この状況下でも何かできることはないかと試行錯誤する中、密にならないキャスト、スタッフによる「今ならでは」の二人・三人芝居への挑戦へと至った。
演目は、太宰治の小説「お伽草紙」を原案に、圧倒的な筆力で二重三重の織物のような劇構造の中に真実を構築する倉持裕脚色による『浦島さん』と、人間の善悪を織り込んだ駆け引きめいた心のひだの描写に定評のある青木豪脚色による『カチカチ山』という今昔おとぎ話。演出は劇団☆新感線のいのうえひでのりが手掛ける。出演は、『浦島さん』に、福士、羽野晶紀、粟根まこと。『カチカチ山』に、宮野、井上小百合と、ベテランから若手まで実力派が顔をそろえた。

囲み取材に登場した福士は、青を基調とした和装で爽やかで凛々しい雰囲気。一方の宮野はくたびれた茶色のジャケットとパンツ、髪はぼさぼさで、汚れた顔のメイクといういでたち。それぞれが公演に向けた思いを語った。

『浦島さん』

『浦島さん』

［福士蒼汰 コメント］

たった今ゲネプロが終わりました。また開幕に向けて、気合を入れ直しています！　本番でお客さんが実際に入って、自分がどこまでノッていくか、どう感じるかが未知数です。多少の緊張はありますが楽しく、『浦島さん』の物語を表現したいです。誰もが知っている「浦島太郎」ですが、登場人物の個性がぶっ飛んでいて、とてもエネルギッシュです。社会性のあるメッセージも盛り込まれているので、そこも感じ取っていただきたいです。エンターテインメントは、なくても生きていけるけど、舞台やドラマをやってほしいという皆様からの声があって、こうして上演することができます。皆様からの声が心からありがたいです。オンライン配信も行うのでそれを見て、また生の舞台を見に行きたいと思ってもらえる作品にしたいです。ぜひご覧ください！

『カチカチ山』

『カチカチ山』

［宮野真守 コメント］
僕自身、二人芝居はなかなかない機会です。セリフ量や運動量がすごく、95分の濃密なエンターテインメントが詰まっています。昨日、初日公演を迎えましたが、とても手応えを感じました。この勢いで、千秋楽まで向かっていきたいと思います。僕の衣装は、見ていただいた通りとても汚いです（笑）。こういう衣装でステージに出演するのは初めてです。皆様が知っている「カチカチ山」ですが、今回は太宰治の弟子の目線と解釈が加わっているので、ケレン味があり、少し屈折した部分が非常に面白いなと思っています。自分の欲望に対して、どのように向かい合って認めていくのか、心理的に深い部分もあります。福士くんと共演する予定だった『神州無頼街』が延期になり、悔しさがありますが、でもこの状況下だからこそ作り出せる、新しいエンターテインメントの形があるんだと実感しています。応援、よろしくお願いします！

公演は10月17日（土）まで同所にて。なお、全公演の様子がPIA LIVE STREAMでライブ配信される。

撮影◎田中亜紀