「チェリまほ」の愛称で親しまれる人気漫画が、このたびテレビドラマ化。人の気持ちが突然見えるようになってしまった主人公・安達を演じるのは赤楚衛二。安達に恋心を抱く同僚・黒沢を町田啓太が演じる。迷いながらも真っすぐな気持ちで作品に挑む赤楚に、思いを聞いた。
――出演が決まって感じたことは?
役が決まったと聞いたのが、僕の26歳の誕生日だったんです。その日は誕生日を祝ってもらうだけかと思いきや、「こんなプレゼントが!」みたいな感じで。とてもうれしくて、本当に忘れられない誕生日になりました。そしてドラマの内容を聞いたら、魔法が使える30歳の童貞で、BL作品で…ということで、めちゃくちゃ面白そうだなって思いました。
――本作で描かれるのは、男性同士の恋模様。初挑戦になる部分もあると思いますが、演技プランなどはありますか?
男性と恋愛関係になっていく過程を想像するのは、正直とても難しかったです。ただ、原作の漫画を読むと、その恋の過程がすごく分かりやすく描かれていて、違和感なく読めたんですよ。でもやっぱり、友達のままでいれば居心地も良いし、一緒にいて楽しい相手とどう恋愛に発展していくのかな…ということはずっと考えていて。多分、僕がモヤモヤしている部分って、友情が恋愛感情に変わっていくってどういうこと何だろう?ということなんですよね。でも、その答えを明確に見つけない方が安達という役を演じていく上ではいいのかなとも思っているんです。だからずーっと考え続けながら演じたいなと思います。
――同僚から恋人にステップアップする瞬間は、特に難しそうですね。
そうなんですよね。安達や黒沢を見ていると、本当に内面で相手を好きになっていっているような気がしていて。それは男女関係なく、恋する過程において重要なポイントですし。だから本当に、性別が違うだけで女性との恋愛とどう違うんだろう?というのは感じています。
――赤楚さん自身はどんなふうに人に心引かれるタイプですか?
僕は、雰囲気を大事にしていますかね。顔もそうですけど、なんか、その人の持つ雰囲気って性格がにじみ出る気がして。あと、僕以外の人に対してどう接しているのかとかもすごく気にしますね。でも、やっぱり基本的には、直感的に「この人いいな」と思うと、合うことが多いというか。何だか、そんな直感力みたいなものはある気がします。
――ちなみに、この作品においては安達も黒沢も妄想をするシーンが多いですが、赤楚さんも妄想することはありますか?
妄想は…しますね(笑)。「こうなったらどうしよう」というよりは、「こうなったらいいな」という希望的妄想が多いかもしれないです。
――その希望的妄想をかなえるために、積極的に動くタイプですか?
どちらかというと動いちゃいますね。だから例えば恋愛だったらアタックするとか、能動的に動くタイプだと思います。
――恋愛観において共感できるのは安達? 黒沢?
共感できる部分で言ったら両方共、ありますね。黒沢くらい能動的だし動こうとも思っているんですけど、たまに奥手になったり、ちょっとラクしたいと思っちゃう部分もあったりして。そういうところでは安達にすごい共感できますし、好きな人に対しての思い方みたいなところは黒沢に共感します。
――黒沢を演じる町田さんとは初共演ですが、町田さんのイメージは?
まだお会いしたことはないのですけれど(※取材時)、良い人なんだろうなというイメージがあります。すごく真っすぐな方なのかなと。お芝居に対して真摯(しんし)に向き合っていらっしゃる方なんだろうなって思います。町田さんの持つ雰囲気も僕は好きなので、仲良くなれたらうれしいなと思います。
――赤楚さんは、初対面の方と積極的に接することができますか?
人によります(笑)。男性だったら、ちょっと気難しい方じゃない限り打ち解けやすいなとは思うんですけど…。女性はあんまり得意じゃないのかもしれないですね。変に意識し過ぎちゃうのかもしれないです。僕は男兄弟の中で育ってきて、あまり女心というものを学ばずに育ってきたので(笑)。学生時代も、お姉ちゃんや妹がいる友達は女性とのコミュニケーションの取り方がうまくて憧れていました。
――ではもし、安達のように人の気持ちが見えたらどうしますか?
僕、たぶん田舎に逃げます(笑)。いざ僕が人の気持ちを分かってしまったら、自分のことをどう思っているんだろうって気になるし、悪く思われているのを知ってしまったら相当落ち込むと思う。だからそうなってしまったら、一人で田舎へ行って静かに生きていこうと思います(笑)。
――ネガティブなことに限らず、安達のように「この人は自分のことが好きなんだ」ということも分かりますね。
そうですね。僕は人の好意とかに関しては、相手がどう思っていようが構わないタイプなんです。もし相手が僕のことを好きじゃなくても「好きにさせてやる」くらいの勢いはあるというか。でも、しゃべっている途中に心の声で「コイツ話つまんない」とか「そこら辺は気遣えないのね」とか思われていたら…。そういうささいなことで傷ついて、恋愛もできなくなりそうです(笑)。
――安達にとっての親友・柘植(朝香航大)のように、自分をさらけ出して相談しますか?
プライベートなことであれば、地元から上京している友達とかには相談しますね。お芝居や役者としての生き方とか、社会の話とかになると、俳優仲間に相談することもできますし。人に言えないようなこととかになってくると、家族に相談することが多いかもしれないです。恋愛相談とかは絶対できないですけど(笑)。今こういうことを感じて生きているとかって話をするのは家族。だてに僕の倍生きていないなって思うような答えが返ってきたりするんですよね。俳優仲間とは、芝居の難しさや今演じている役について話したりして。映画でお互いの出演作品を見て「ここはこうだよね」みたいな話とかはしますね。
――今回の役作りにあたっては1人で考え、構築していきますか? 監督や共演者と相談しますか?
これまでは一人で悩むことも多かったんですけど、ここ最近はなるべく監督と話し合っていきたいなと思っていまして。とはいえ、監督に全部聞いちゃうのもよくないとは思っていて。だから考えられるところまで自分で考えて、いざ壁にぶつかった時にヒントが見つかるようなディスカッションができたらいいなと思います。
――その中で自分の答えを見つけていく?
はい。僕、人の意見を聞くのがすごく好きなんです。自分に見えている範囲を超えてくる答えがあったりとか、さりげない一言で気付きを得たりとか…そうして糧となることが多いので。今回もそうやって、安達自身をいかに魅力的に演じられるか、監督や皆さんの力も借りながら、必死に模索していきたいです。そしてこの作品を見た皆さんが、人との向き合い方を考えたり、優しい愛を感じて、温かい気持ちになっていただけたらうれしいです。
あかそ・えいじ 1994年3月1日生まれ、愛知県出身。主な出演作に「仮面ライダービルド」(テレビ朝日系)、ドラマ「ねぇ先生、知らないの?」(MBSほか)など。出演映画『思い、思われ、ふり、ふられ』『映像研には手を出すな』が公開中。
木ドラ25 「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」
テレビ東京ほか 毎週木曜 深1.00~1.30
出演:赤楚衛二 浅香航大 ゆうたろう 草川拓弥(超特急)佐藤玲 鈴之助/町田啓太
TV放送終了後よりTSUTAYAプレミアムにて独占配信開始!
※他社見逃し配信を除く
©️豊田悠/SQUARE ENIX・「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」製作委員会
文◎田中莉奈