新田たつおによる人気コミックを、令和版として新たに映画化したシリーズの第2弾『静かなるドン2』が公開中。ヤクザが嫌いな主人公・近藤静也役は伊藤健太郎が、静也の側近・猪首硬四郎役と本作の総合プロデューサーを兼ねる本宮泰風がそれぞれ続投し、本作の魅力をたっぷりと語ってくれた。
――まずは続編を撮った際の率直な感想を教えてください。
伊藤 この作品に限ったことではないのですが、やっぱり続編を撮るってすごく難しいなと感じました。続編は、1作目をたくさんの方々に見ていただいて「面白かった」という声をいただいてこそできるものだと思っているので。そしてそれは、当然のことながら皆さんのハードルが上がっていることを意味すると。そういう思いから、前作よりもブラッシュアップしたものをお届けしないといけないなというプレッシャーを感じましたし、そうでなければやった意味がないと思いました。
――本宮さんは総合プロデューサー兼出演者として、続編の撮影現場をどのように感じましたか?
本宮 今健太郎が言ったみたいに、シリーズとしての大変さってあるんですよ。車で例えるなら、鍵を挿してエンジンを回してアクセルを踏むまでが今の段階だと思っていて。シリーズ作品は走り出してしまえばある程度回るもので、それまでが大変なんです。そういう意味で、今がちょうど正念場かなと思っています。座長・伊藤健太郎としての形がだんだんと出来上がってきて、いいスタートを切れたなという感覚です。
――静也が総長になってから凛々しさが増して、1作目からの進化や成長を感じる2作目だったなと感じるのですが、具体的にどういうふうに静也の変化を意識しましたか?
伊藤 1作目では、静也としても“総長になる”ことに対しての葛藤があって。でも今作ではそこを払拭していて、“自分は総長という形でヤクザ社会を変えていかなければいけない”という考えに切り替わっているんですよね。なので目線一つ、座り方一つから意識をして、“総長としてなめられちゃいけない”という気概を持った堂々とした佇まいを目指しました。
――そんな伊藤さんを静也の側近役として見ていて、その変化はダイレクトに感じましたか?
本宮 そうですね。近藤静也としても伊藤健太郎としても現場の軸になってきたなという感じで。スーツ姿もだいぶサマになってきたし。
――座長・伊藤さんはどんな人ですか?
本宮 現場のレギュラー陣にはベテランが多い中で、若い座長の心地よさみたいなのがあって。それは恐らく、健太郎が器用で何でもできる役者だというリスペクトがみんなの中にあるからなのかなって思うんです。仕事の面で絶大な信頼ができているので、若い座長でもおじさんたちが心地よく現場にいられる…というか。すごくいい現場だなと思いました。
伊藤 ありがとうございます。本当に皆さんステキな方々ばかりなので、自分もこの現場が大好きで。2だけとは言わず、3も4も続いたら…っていう思いが強いです。
――現場での印象的なエピソードはありますか?
伊藤 今回は特に、生倉新八役の三宅(弘城)さんと肘方年坊役の坪倉(由幸)さんがコントのような掛け合いのシーンの練習を現場の隅っこでよくやられていたのが印象的で。それを見ているのが面白かったですね。
本宮 あのコンビのコメディー的なやり取りは、前作からずっと続いているよね。しかもその部分の台本はすごくアバウトで。“ここで2人何かやってください”みたいなト書きしかないから(笑)。だから2人はいつも隅の方で、お笑いのライブ前みたいに打ち合わせしていたよね。
伊藤 壁に向かってネタ合わせしてるから(笑)。
本宮 そうそう(笑)。健太郎同様に、他の役者にも瞬発力があるからいいなと思う。おじさんたちなんて、現場では基本ワガママなんだけど、カメラ前になると一つになるみたいな感じが僕はすごく好きだな。
――思わず笑っちゃった瞬間はなかったですか?
伊藤 ありました(笑)。アドリブで三宅さんが「猪首さ〜ん?」みたいなこと言ったことがあって。
本宮 あったあった(笑)。
伊藤 振るんですよね!(笑) 猪首のキャラクター的にも、そのシーン的にも絶対喋っちゃダメなのに、わざわざ「猪首さんはどう思います〜?」みたいなことを振るっていう。
本宮 「猪首さん瞑想中でーす!」ってな(笑)。
伊藤 やめてくれよ!と思って(笑)。そういうアドリブでかましてきてくれるので面白いですね。
本宮 本当にずっとやってるからな。でも台本ではない、彼らの関係性から生まれるものだからあれだけ面白いのかなと思いますね。
――本作に初参加となった松平航役の山中柔太朗さんへの印象もお聞かせいただけますか?
伊藤 ずーっと寒そうだった印象ですね(笑)。彼、脂肪が無さすぎて! 寒い時期の撮影だったのもあると思うんですけど、ずっと震えてたなぁ。
本宮 何か話した?
伊藤 M!LKのメンバーに過去に共演した子がいたので、ちょこちょこ話しましたね。そこで、「俺すぐ風邪ひいちゃうんですよ〜」って言ってて(笑)。
本宮 脂肪がないからな(笑)。
伊藤 現場ではすごく集中されていたから、ガッツリはお話できなかったんですけど。「アクションをやりたい!」と言っていたり、ハングリー精神がある子だなって感じました。