本宮泰風、山口祥行を筆頭に、老若男女に愛される任侠シリーズ「日本統一」が、10周年を迎えた。周年記念作品の第一弾となる映画『氷室蓮司』が全国公開中。
本作は、今まで描かれて来なかった氷室蓮司(本宮)の父親としての一面を見せる作品となっており、物語の舞台は日本から台湾に移された。謎の組織に息子を誘拐された氷室が単身、台湾へと渡る。
TVfanでは、本作で主演を務めた本宮泰風と、相棒・田村悠人役を演じる山口祥行の対談を実施。共に駆け抜けてきた10年間、そしてこの先の展望について語ってもらった。
――映画『氷室蓮司』は、山口さん発信で始まった企画だそうですね。
山口 鈴木Pと辻監督と俺ですね。泰風は自分ではやりたがらないから、こっちが提案しても「うーん…」って最初は乗り気ではなかったんです。
本宮 乗り気ではなかったね。
――そこを山口さんが後押し?
山口 いやまぁ、後押しっていうか…
本宮 後押しですよ(笑)。
山口 「鈴木さん、これは何としてでもやった方がいいよね」って(笑)。「泰風さんをどうにか説得させよ?」って言いました。「日本統一」シリーズが続いていく中で、若い奴らのスピンオフ(「山崎一門 ~日本統一外伝~」)をコメディー作品として落とし込んだりもしてきた。そして俺はアクションのスピンオフ(「日本統一外伝 田村悠人」)をやらせてもらって。そしてさらに違う要素として、このシリーズでサスペンス作品をやるならば、それは氷室にしか担えないだろうと思ったんですよ。田村がサスペンスをやったって、暴力映画になるだけだから(笑)。
――田村はすぐ殺しちゃいますもんね(笑)。
山口 そう、すぐ殺しちゃうから(笑)。
本宮 この映画は10周年記念の第一弾作品なので、これからどんどん10周年記念の作品やイベントを発表していく予定です。だからその第一弾として、氷室の物語をやりましょう、ということに最終的にはなりました。
山口 俺だけじゃなく、みんな氷室が好きだから。やっぱ一発目は氷室でしょ!ってノリも正直ありました。それでも、こうして映画としてちゃんと形になるっていうのがすごく素敵だなと思いましたね。
本宮 ただ、氷室の物語をやるのなら、今までやってきたシリーズの中でほったらかしになっていた息子との話を回収しましょうという話をしたんです。
――氷室の息子は、10作目くらいから出ていなかったかと。シリーズを続ける中で、いつか描きたいと思っていたのでしょうか?
本宮 そこはやっぱり、作り手の1人としてずーっと気になっていました。どこかでなんとかしなければなと。でもすごくデリケートで難しい内容なので、どこでどういう形でやればいいのかなって何年も考えていて。そんな中、今回映画をやろうという話になった時に、じゃあこの場を借りて描こうかなと思ったんです。
――氷室は謎多き人物なので、映画では彼の人間味が垣間見えた気がします。
本宮 どこまでやるか、その塩梅も難しかったです。氷室というキャラクターで家庭的な部分を出しすぎちゃうのは…とか。すごく悩みましたね。
山口 個人的には、泰風自身が蓮司に乗り移った感じがして。実際、泰風自身もパパだし、ヒュッと蓮司に気持ちが入ったのかなという瞬間が、垣間見えましたね。
本宮 役者って生き様が出るものなので、無意識でもそういうところは出ちゃうんだろうな。でもまぁ、俺がやるんだから俺っぽさが出るのはしょうがないなって感じで…やっちゃいました。
山口 ギャハハハ!
――山口さん自身は、完成した映画を観てどう思いましたか?
山口 もっとここはこうできたなっていう反省点は、毎回絶対に出てきますけど。でも、今までにない氷室蓮司は見れたかな。やっぱりいいですよね、台湾の風景も氷室も。カッコいいな、コイツって。
本宮 ふふふっ。
山口 カッコよかったでしょ?
――すごくカッコよかったです!
山口 ありがとうございます!!
――まだまだ、“氷室のこんな姿が見たい”という構想もありますか?
山口 まだまだあるよ!
本宮 やめろ!(笑)
山口 俺はさ、普段からいろんな映画を見る度に「こういうのを氷室にやらせたいな」とか思うし、そういうのは日々出てくるんですよ。今回も、氷室が台湾にマッチすると思っていたし、映像見てもやっぱりカッコいいんだよね。
――今回は、氷室が単身で台湾に渡ります。山崎一門のみんなも山口さんもいない現場は、寂しくなかったですか?
本宮 だからヤマとは毎晩電話してましたよ。
山口 日本から、「どう?」って聞いてたよね。「こっちは雨が降ってるよ」とか毎日聞いてた。
本宮 「今日何食べた?」「今タピオカ飲んでるよ」とかね。
山口 日本でも甘いものばっかり食べてるのに、台湾行っても食べてんだもん(笑)。
本宮 結局、同じものばっかり食べてました(笑)。
山口 ただ本当にね、俺は「やりましょう」って監督とちょっと打ち合わせした程度で、あとは総合プロデューサーの泰風にお任せしちゃうわけだから(笑)。すげぇ大変だっただろうなって思うよ。国も違うわけだし。
本宮 でも俺的には、ヤマが企画段階から入って考えてくれたことがすごくうれしかったから、それをなんとかいい形にするには…って模索して、何度も台湾に行って…。そこで散々な目にも遭いましたけど(笑)。
山口 俺はそれを電話で聞いてるだけだったね。「こんなことがあったんだよ」「え〜⁉️ 大変だね〜」って(笑)。
――何があったのですか?
本宮 台湾で手伝ってくれる制作会社が決まったからすっかり安心して、呑気にロケハンしてたら突然電話がかかってきたんです。そこで「やっぱり手伝えない」と言われて。その瞬間、クルーは俺たちだけになっちゃったんですよ。どうしようかと思ったけど、台湾にいる後輩たちに「こういう人を探してほしい」とお願いして、その場でスタッフを決めていったんです。
山口 そこでもリーダーシップを発揮するんですよ! 国が違っても泰風は氷室になれるんだって、そこで思いましたね。
本宮 プロデューサーの鈴木さんも「なんとかなるでしょ」って言って、撮影スケジュールを伸ばしてくれる気もなさそうだったし(笑)。もうやるしかないなって。誰もがこの撮影をやることに迷いはなかったけど、90%までまとまったものが0%になっちゃった絶望はすごくて。たった1本の電話で、一気に地獄に落とされましたね(笑)。仕方ないから、台湾のホテルのロビーで作戦会議をして。
山口 それを聞いた時は、本当にびっくりしたよ。よく集まったよね。
――本作が10周年記念の第一弾企画で、第二弾は『氷室蓮司』のコミカライズ、その先はどんなことが予定されていますか?
本宮 山崎一門が歌も歌ったし、ヤマがラップとかやる?
山口 イエー!
本宮 そのくらい、いろんな方向で仕掛けられないかなって考えています。今、日本一のラッパーを決める「フリースタイル日本統一」のイメージキャラクターを、“日本統一”つながりで俺がやっているんですよ。そこに、10周年記念としてうちのメンバーも送り込もうかと思っているんです。
――以前、山崎一門の皆さんで歌ってましたが、お二人は歌わないんですか?
本宮 場合によってはそれもあるかな。でも今、2人で歌えるのって「あずさ2号」しかないので。
本宮・山口 (ユニゾンで)8時ちょうどの〜あずさ2号で〜♪
本宮 ふざけてないですよ? ガチで色々考えてますから(笑)。
――1年かけて、この10周年を盛り上げていくと。
本宮 いや、1年じゃない。20年目までなので、ここから10年かけて…ですね。
山口 10周年 第15弾!とかあるかも。
本宮 止まらないですから。
山口 僕らは作ることを止めたらダメだと思ってるんで!
本宮 だから逆になんか、“こういうの”っていうのがあれば言ってもらえたらやりますよ。
――ボイスドラマ…声だけで楽しむドラマCDなどいかがでしょうか。以前お二人がラジオに出演された時に、それに近いことをやっていた記憶があって。
山口 あぁ! 前にやったね!
本宮 じゃあやっちゃおうか。
山口 ね、やっちゃおうか。
――そんなノリでいいんですか!?
本宮 そんなノリでいいんだよ。
山口 『氷室蓮司』もそんなノリだもん!
本宮 さすがにそんなことはないけど(笑)。
(鈴木P やろうと思ったらすぐに作れますよ。)
本宮 じゃあやりましょう。撮影の合間にでも(笑)。