THE YELLOW MONKEYを追ったドキュメンタリー映画「オトトキ」のトークイベント付き上映が12月10日、東京・新宿バルト9で行われ、松永大司監督とその友人である橘ケンチ(EXILE/EXILE THE SECOND)が登壇した。
2016年、15年振りに再集結した伝説的ロックバンドの復活劇を、超至近距離のツアー密着カメラと国内外の証言、そして原点である渋谷のライブハウスLa.mamaでの“無観客”ライブで逆説的に描き出した名作。迫力あるサウンドと、貴重な過去映像も満載で、ぴあ映画初日満足度ランキングでは1位(94.1点)を獲得。また、第22回釜山国際映画祭ワイド・アングル部門へ正式出品、第30回東京国際映画祭には特別招待作品として出品されている。
冒頭の挨拶で「なぜTHE YELLOW MONKEYの映画にEXILEが? と思われるでしょうけど…」と笑わせた橘だが、思い入れある小説を紹介し実店舗展開もする連載「たちばな書店」や、名作映画の印象的なシーンや自身を主人公にしたオリジナル映画を撮り下ろすアートワーク連載「REMEMBER SCREEN」などで深い教養を感じさせる文化人の側面も。
松永監督とは、監督の前作「トイレのピエタ」のプロモーションで対談したことをきっかけに公私に渡る友人関係を築いていると言い、監督と海外の監督との会食に招かれた際には、九州でのライブの中日に東京までとんぼ返りしたエピソードなどが披露された。
その縁で編集中の「オトトキ」をまず関係者向けの試写会で見たという橘は、「そこで引き込まれて気づかれないうちにイエモンの本当のファンになったみたいで。公開後に自分で映画館で見たときは、着席してから上映が始まるまでドキドキしっぱなしでした。音が鳴った途端に涙を流すお客さんを見て僕もブワーって熱くなって…僕もエンターテイナーをやらせていただいているので、僕らのファンの気持ちも味わえたような、とても濃厚な2時間でした」とコメント。
一方、橘のアートワークから「いい意味で“頭イカれてるな”と。偏執的というか、クリエイティブへの執着がすごいんですよ。ケンチくんは本当に映画が好きなアーティストだと思います」と評した松永監督は、「裏方に近い感覚を持っているので個人的に趣味も合って楽しいんです」と、プライベートでご飯を一緒にした流れで「意見を聞きたい」と試写会に誘った理由を告白。
さらに、橘が「さっき答えを聞いちゃったんですけど、冒頭の代々木体育館へ向かうファンの方を追うシーンをどうやって撮ったのかなって…僕もMVを撮ることがあるのでカメラワークが気になるんですよ。僕はドローンだと思ったんですけど…」と振ると、松永監督は「それだけで映画の予算をオーバーしそうになるくらい巨大なクレーンを使って、何テイクも撮りました。ドローンだと音で気づかれちゃうんですよ。本編に使ったのは一人ですが、撮るたびにスタッフの方が映った方に許可をもらってくれて…」と裏話を明かす。
これを聞いた橘が「松永さんは皆さんご覧のとおりフランクでマイルドで、先輩なのに同じ目線で話してくれる優しい方ですけど、このように撮るときのこだわりはすごい強くて、ちょっと怖いほどだって聞いたことがあります(笑)」と暴露するなど、親しさとリスペクトに溢れた関係を垣間見せた。
最後に橘は「吉井さんがメンバーを気遣いつつ、丁寧にものを伝えている様子に共感しました。僕はバンドを組んだことはないけど、グループで活動しているので、グループは一人ひとりの人間で成り立っているなあと実感しましたね。これは4人の人間模様が垣間見える、今年一番の映画…いや『HiGH&LOW』シリーズ(※自身も出演)も大好きなんでそれも一番ですけど(笑)、この人間ドラマをあと2回は見たいと思っています」と感想を交えてあらためてPR。
松永監督は「僕もケンチくんと同じように、イエモンを好きだけどそこまで熱いファンではなかったですね。でもこの映画で変わりました。今日のケンチくんとのトークイベントで観に来てくれた皆さんもそうですが、一見交わることのない人たちが交わることで、イエモンのファンじゃなかった人が見てくれる可能性が芽生えますよね。こういったことで1年近く密着させてくれたメンバーにも、恩返しできればと思います」とまとめた。
「オトトキ」は、全国の映画館で絶賛公開中。