職場では無表情で仕事に厳しく“氷鉄の女”という異名を持つ吉永奈央(山崎紘菜)と、先輩社員から奈央を陥れるべくウソの告白をするように迫られた、奈央が長年片思いをしている同期の里村紘一(小関裕太)の恋を描くラブコメディー。テンポのいいトークが印象的な山崎と小関に、ドラマだけでなくお互いの演技の魅力についても語ってもらった。
――お互いの印象を教えてください。
小関 お笑い芸人さんみたい。
山崎 お笑い芸人さんだと思ってるでしょ?(笑)
小関 山崎弘也(アンタッチャブル)さんと一文字違いということで。現場でもお笑いの話になったんですけど、「弘也じゃないから」「ザキヤマさんじゃないから」みたいなことを自らおっしゃってて(笑)。
山崎 どういう呼び名にしようかっていう話をキャストでしていて。高校生の頃に「弘也」って呼ばれてた、というエピソードを話したんです。
小関 結局呼び方は定まってないよね(笑)。でも一時期「弘也さん」って呼んでました。
――実際、山崎さんに通じるところは?
山崎 いやいや、ザキヤマさんはお笑いの神様なので…そんなの恐れ多いです…。
小関 アハハ! 紘菜ちゃんは明るい雰囲気を持っていて、笑顔が伝達するんです。例えば、僕がちょっとセリフをかんだり、セリフが出てこなくなっちゃった時に、面白い言葉で返してくれるんです。そんなお笑い芸人さん(笑)。
山崎 肩書き!(笑)
小関 まぁ、うそですけど(笑)。でも、すごく面白くして、現場の雰囲気をほんわかさせてくれる部分があって助かってました。
山崎 それは小関くんも同じです! 私もうまくいかないスイッチが入っちゃって、落ち込んでいたことがあって。その時に、小関くんが優しく「大丈夫だよ」って言ってくれて、涙が出そうになりました(笑)。
小関 そんなに!?
山崎 主演なのに、頑張らなきゃいけないのに、みんなに迷惑を掛けちゃったなと落ち込んでいた時に、すごく励ましてくれて。それから、ミスをした時に面白く返してくれるのは小関くんも一緒です。ユーモアに変えてくれるところにすごく救われていました。それに、小関くんはご存じの通りすごく歌が上手じゃないですか。
小関 いやいやいや(照)。ありがとうございます。
山崎 休憩時間や空き時間に鼻歌を歌われていたんですけど、それが鼻歌のクオリティーじゃないくらい上手で。スタッフの皆さんと一緒に癒やされていました。Vaundyさんや髭男(official髭男dism)さんを歌ってくれると、「ラジオで知ってる曲流れた!」みたいなワクワク感があって楽しかったです。
小関 「うるさい」って思われなくてありがたいです(笑)。
――役を演じる上で意識していたところは?
小関 僕、紘菜ちゃんに聞きたいことがあって! 撮影は別々のことも多かったので、完成してから初めて見るシーンが多かったんです。もう紘菜ちゃんの演技がめちゃくちゃ面白くて! 白目をむいたりとか里村の背中越しの派手な表情とか、ナレーションだけじゃなくて表情も面白いものをたくさん持っていたので、「どんな感じで演じられてたんですか?」って聞きたいです! 視聴者の一人としても楽しませてもらったから。
山崎 コメディー作品、しかもラブコメディーだから、奈央の“氷鉄のモード”と“恋してるモード”のギャップを面白くしなきゃいけない、ということはすごく考えて。でも、イタイくらいにわざとらしくしてしまうとリアリティーがなくなり過ぎて、視聴者の方が置いていかれてしまうので、リアリティーを持ちつつも、ちょっとダサくて、ちょっとカッコ悪い、というちょうどいいあんばいを目指していました。実は監督とも、1話に1回白目を入れる「白目チャレンジ」をしていて(笑)。
小関 そんなのがあったんだ!
山崎 でも、6、7話は奈央の登場シーンが少なくて入れられなかった。監督と「悔しいね」と話していました(笑)。それと、奈央がただ明るくて面白いだけだと、人物として薄くて奥行きがなくなってしまうと思って。だから、誰しもが持つ触れられたくない部分、奈央にとっては「なんで会社を辞めるのか」「どうして“氷鉄の女”ができたのか」という部分をしっかりつくった上で、コメディーの部分に挑戦しようとしました。私は小関くんが演じる里村を見て、里村の人間としての葛藤や成長が、小関くんのお芝居によって丁寧に描かれているなと客観的に思いました。そのおかげで、前半は割とポップでコメディー要素が強いけど、後半は濃密な人間ドラマになっていく。小関くんのおかげで2つの魅力を持つ作品になったと思います。里村を演じる際、どんなことを意識されたんですか?
小関 彼が持っているコンプレックスが、僕が10代の頃に持っていたコンプレックスと通ずるものがあって。里村は自分で決断できずに間を取るとか、イエスマンになってしまうとか、そういう自分の選択にネガティブな意識を持っているんです。奈央を思う中で、その優柔不断な部分で彼女を悲しませてしまったことに気付いて、性格を大きく変えていこうとして。そこは、その頃に自分自身に掛けていた言葉を思い出しながら、里村がそれを乗り越えていく姿が見えたらいいなと、思いを込めて台本を読んでいました。