EXILE TETSUYAが6月23日、公益財団法人日本卓球協会・男女ホープスナショナルチーム(HNT)のコンディショニングコーチ就任式に出席した。
HNTは、10年後の卓球界を見据えて2001年に構成された12才以下のナショナルチーム。U12/U10/U8と細かくカテゴリが分けられていて、世界に先駆けて導入された。一期生の水谷隼選手をはじめ、先の東京オリンピックで銅メダルを獲得した張本智和選手もHNT出身。オリンピアンの登竜門として選手たちが切磋琢磨している。
日本卓球協会では18年に、卓球界で初めてダンスを取り入れたウォーミングアップを一般財団法人KODAMA国際教育財団主催のU-7事業で取り入れ、その後も男女HNT強化合宿にてTETSUYA考案・監修の「EPI Quality」からダンストレーニングプログラムを導入。その取り組みが評価され、TETSUYAが今年度から正式にコンディショニングコーチに就任することが決定した。アーティストがこのようなポストに抜てきされるのは初となる。
就任式ではまず、日本卓球協会専務理事・宮﨑義仁が「小学生以下は大人みたいにストレッチを真面目にできないので、なかなか体が温まらない。そこで『ダンスウオーミングアップ』の提案を受けて、U7 (アンダーセブン)の合宿で試してみたら、子どもたちが楽しく踊って汗びっしょり。本当にいいウオーミングアップになった」とカリキュラムを評価し、TETSUYA起用の経緯を説明。その後、就任状が手渡され、正式にTETSUYAがコンディショニングコーチの座に就いた。
就任式後は記者との質疑応答も。卓球とダンスについて、TETSUYAは「プロ卓球リーグのTリーグ開幕戦で張本選手が打っている姿を見て、類似性を感じた」とコメント。さらに「ダンスの基本ステップである“アップ”や“ダウン”のリズムで打っていたり、サイドステップの動きなど、選手によってバリエーションがあることに気付きました。その人に合わせて、どういうダンスの動きを取り入れたら良いかを考えています」と着眼点を示した。
また伊藤美誠選手が持つ1分間にラリー180回のギネス記録(※注1)を音楽的に解釈し、「BPM180(※注2)の音楽を作ったらどんな感じなのかな、と音楽を用意してHNTのウオーミングアップで使いました。そのリズムでジャンプしたり、ステップを踏んでみたり」と話した。さらにそれを超えるBPM185でのトレーニングを指示したところ、次の合宿で参加者がそのテンポでステップを踏んでいる光景を目にした宮﨑は「これは卓球界以外でも通用する」と確信したという。
BPM185のダンスミュージックとなると、かなりの高速なビートだ。これについてTETSUYAも「僕たちでも踊らない速さの音楽なので、初めて作りました。この速さで行うジャンプやステップは、僕にとっても初めての経験でした」と挑戦したことを明かした。
また「ダンスと卓球のうまさは比例するのか?」という問いにTETSUYAは「比例するように取り組んでいければと思います。卓球選手で、すごいダンスが上手な人がいたらスカウトしたい気持ちにはなるかもしれません(笑)。海外に行ったら言葉が分からなくても、コミュニケーションにもなると思います」と回答。さらに「ダンスが好きな状態で卓球に打ち込んでいる選手の姿が見られたらすてきだなと思います」と意気込みを述べた。
今後については、「段階を経ながら上の世代のナショナルチームにもダンスウオーミングアップを取り入れていきたい」と語る宮﨑。さらにTETSUYAは「将来的には、それぞれのスポーツに合ったダンストレーニングの導入を目指していきたいという思いはある。まずは卓球の中で可能性を広げていきながら、そこから見えるものを探したい。ダンストレーニングを経験した選手から生まれた金メダリストを宮﨑さんと一緒に見たい、というのが大きな夢」と未来を見据えた。
「最速の球技」といわれる卓球とダンスの邂逅(かいこう)によって、どのような化学反応が起こるのだろうか。今後の動向とここから生まれるであろう新たな才能に期待が高まる。
※注1…2011年ギネスワールドレコーズ社:1分間の高速卓球ラリー最多数 (180回) でギネス認定
URL:https://www.guinnessworldrecords.com/world-records/most-table-tennis-counter-hits-in-one-minute
※注2…BPMとはbeat per minutesの略であり、音楽において1分間に刻まれる拍数の単位