今年４月からKAAT神奈川芸術劇場の芸術監督に就任した長塚圭史が、メインシーズンの幕開けに選んだ舞台『近松心中物語』。９月に同劇場で上演されるが、このたびメインビジュアルと公演日程詳細が決定した。

作家・秋元松代の名作にして蜷川幸雄の代表作に、新芸術監督・長塚圭史が挑む！

いちずで真面目な「飛脚宿亀屋」の養子・忠兵衛（田中哲司）が、郭町で偶然出会った遊女・梅川（笹本玲奈）を見初めてしまったことで始まる元禄の悲恋。二人の恋を後押ししようと自分の店にあった金を無断で貸してしまう忠兵衛の幼なじみで古道具屋の婿養子・与兵衛（松田龍平）と、与兵衛を心から慕っている女房・お亀（石橋静河）。初めは純粋な恋心と親切心だったはずが金に追い詰められ、世間から逃げ出さざるを得なくなる元禄時代の二組の恋の物語は、格差が問われる現代の私たちに驚くほど重なる。

舞台音楽をHIP HOP界の重鎮ともいえるスチャダラパーに託し、さらにこれまで50人規模のキャストで上演されてきた名作舞台を、19人の実力派キャストが複数の役を演じ分けて上演するという長塚圭史の意欲作。出演は田中、松田、笹本、石橋、朝海ひかる、石倉三郎ほか多彩な顔ぶれがそろった。

神奈川芸術劇場での大空間を生かしたチャレンジングな演出＆試みに、大いにご期待を！

［亀屋忠兵衛役：田中哲司コメント］

『近松心中物語』は蜷川幸雄さんのために書かれた戯曲であり、完成され熟練された作品です。その秋元松代さんの名作に最大限の敬意を払いつつ、しかしそれにとらわれず、恐れず、真摯（しんし）な気持ちで取り組んで行こうと思います。これはもう、戦いだと思っています。敵はかなり手強いです。横浜のKAATで、長塚圭史くんをはじめ座組のみんなでぶつかって、令和の時代に元禄の花を咲かせられるよう頑張ります。

［傘屋与兵衛役：松田龍平コメント］

このたび『近松心中物語』をやることになりました。長塚さんとは３回目になりますが毎回とても大きな課題を頂けるので、今回も戦々恐々ですが、それを乗り越えて新しい景色を見たいなあと楽しみにしています。座組みのみんなと共に夢中になって魅力的な物語を届けられるよう頑張ります。

［梅川役：笹本玲奈コメント］

近松心中物語の梅川は、いつか和物に挑戦したときに演じてみたいと思う憧れの役でした。今までさまざまなバージョンで上演されてきた歴史ある作品に、演出の長塚圭史さんをはじめ素晴らしいキャストの皆さまとご一緒できることをとてもうれしく思っております。ミュージカルでは洋物のドレスを着用することが多く、日本人なのに着物を着る機会もこれまでほとんどなかったので勉強しなければいけないことが山ほどありますが、今はお稽古の開始日が待ち遠しく期待で胸がいっぱいです。

［お亀役：石橋静河コメント］

今回、お亀というとても魅力的な役に出会えたことをうれしく思います。人とのつながりが希薄な今、お亀のように誰かを好きになるがあまり命を捨ててしまうということの意味を考えさせられます。若気の至りと言ってしまえばそれまでですが、人との出会いは、時に命を揺さぶるほどのパワーがあるのだと私は思います。二十代も後半に差し掛かってきた今の自分の無知さ愚直さをぶつけながら、この役に挑みたいと思います。

公演は、９月４日（土）～20日（月）、神奈川・KAAT神奈川芸術劇場（ホール）にて。以降、北九州、豊橋、兵庫、枚方、松本公演あり。