※いずれの場面も『放浪記』の演出家・北村文典氏が監修し、衣装は『放浪記』の全衣装を担当してきたスタッフが担当。小道具も『放浪記』の舞台で実際に使用したミカン箱(芙美子が原稿を書く文机代わり)、原稿用紙などを用意した。岡本や上白石の相手役を務めたのは、森さんの演技をつぶさに見てきた付き人の女優たち。各年度の森さんの映像の動きやセリフ、目の動きを再現し、二人の演技をサポートした。
[岡本健一コメント]
7月の半ばに、ありがたいことに菊田一夫演劇賞を頂いたのですが、その後すぐに今回のお話を頂きました。菊田一夫演劇賞を頂いた時、一番最初に頭に浮かんだのは森光子さんのことでした。森さんとは30年以上前からずっと過ごさせていただいたのですが、よく菊田先生の言葉や「菊田先生がいるから今の自分がいる」というお話を伺っていました。受賞を森さんに報告したいと思った矢先の今回のお話だったので、非常に心が震えたというか、ありがたいと思っています。森さんはテレビなどあらゆるジャンルでご活躍なさっていましたけれど、自分としては舞台の森さんの姿を本当に尊敬していましたので、それを今回このような形でもう1回見られる、森さんを特集していただけるというのは、今を生きる私たちにとっても力になると思うし、素晴らしい企画だなと思います。自分より下の世代には、森光子さんの舞台をリアルタイムで体験した人がどんどん少なくなってくる。そういう人たちに、自分が尊敬し影響を受けた森さんのお芝居や、ずっとライフワークにしていた『放浪記』、80歳を過ぎてもずっと新作に取り組んでいたことなどを伝えていかなければいけないと思っています。
[上白石萌音コメント]
収録の数日前に台本を頂いてから、ずっと脳内が『放浪記』一色でした。(過去の映像と合成するため)どういうふうに撮影するかイメージできずにいたのですが、想像以上に臨場感があって驚きました。池田昌子さん(森さんの付き人を長らく務め『放浪記』に出演していた女優。上白石の収録で森さんのアンダースタディを務めた)が入ってくださったのももちろんですし、森さんの生の声が録音ではあれどこの場に響き、時を超えてお会いできたような気持ちになりました。実際の小道具や衣装を使って芝居をさせていただけたこともあり、夢のようでした。たくさん勉強させていただいて光栄に思います。森さんはレジェンドといいますか、目指すべき女優像と思っていましたので、間接的にでもお芝居のやり取りができたのは、本当にこんなことってあるんだな、という気持ちです。
「森光子生誕100年〜放浪記永遠のメッセージ〜」
NHK BSプレミアム 8月28日(金)後10.00~11.00
出演:森光子、岡本健一、上白石萌音、浜木綿子(声)
証言:黒柳徹子、東山紀之、堂本光一、井上芳雄、丸山博一、田根楽子
「放浪記奇跡の2000回」 ※初回放送2011年8月27日
NHK BSプレミアム 8月30日(日)深0.15~3.15
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