劇作家つかこうへいの没後10年を迎える今年、「つかこうへい演劇祭」の第三弾として、7月に東京・紀伊國屋ホールにて上演予定だった「蒲田行進曲完結編 『銀ちゃんが逝く』」が、新型コロナウイルスの影響を受けて上演中止を決定した。
つかの代表作の一つである「蒲田行進曲」。7月上演予定だった本公演では、主演・銀ちゃんこと倉岡銀四郎には、今最も注目される舞台俳優、味方良介。ヒロイン・小夏には昨年、日本青年館での『フラガール』の主演で高い評価を受け、今春に乃木坂46を卒業、女優として今回の公演が卒業第一弾となる井上小百合。銀ちゃんのために命を懸ける大部屋俳優・ヤスには、2.5次元俳優の中でも異色の光を放ち、屈指の演技派と呼ばれる植田圭輔の起用が決まっていた。
ファンが楽しみにしていた公演は、残念ながら中止になった。しかし、演劇公演ではない形でも、演劇の火をともし続けることはできるのではないか…? という考えの下、「つかこうへい没後10年 追悼イベント」を開催することが発表された。イベントは、つかこうへいの命日にあたる7月10日(金)から3日間、“朗読という名の演劇”と銘打って行われる。なお、イベント開催にあたっては、コロナウイルス対策を徹底し、観客の安全を十分に確保した上で実施される予定とのことだ。
(味方良介 コメント)
こういった形での発表になり複雑な心境です。誰もが望まない今のこの状況の中で、何が正しくて何がそうではないのかということは僕には分かりませんが、今の僕にできることは、この選択が全員にとって正しいと思うことです。「人は幸せになるために生まれてきたのです」。これほど強く、つらい、そして優しい、つかさんの言葉が今の僕の背中を押してくれます。いつかまた、皆さんと熱く激しく優しい世界でお会いできる日を楽しみにしています。
(井上小百合 コメント)
日本の芸術文化や、エンタメ、人々の心の豊かさまで奪われていくことが、悔しくて仕方ないです。しかしながら、自分にとっては新たな学びの機会を頂いているような気もしています。精一杯取り組む所存です。
(植田圭輔 コメント)
今回、僕はつか作品に初めて挑戦させていただく予定でした。関係者の方々が、なんとか演劇を再開させようと努力されていることに心から感謝いたします。そして演劇を楽しみにされている皆さまのために、たとえ上演の形が変わろうと、今、自分ができるすべてを懸けて、この作品に臨みたいと思います。
[イベント概要]
「つかこうへい没後10 年追悼イベント」
~朗読 蒲田行進曲完結編『銀ちゃんが逝く』~
期間:7月10日~7月12日
会場:東京・紀伊國屋ホール
原作:つかこうへい
演出:岡村俊一
出演:倉岡銀四郎…味方良介 小夏…井上小百合 ヤス…植田圭輔
※今後の新型コロナウイルス感染拡大の状況により、イベント実施を含めて変更にな
る場合あります。