――とても反響の大きかった映画ですが、ご自身もそれは感じていましたか?
そうですね。お仕事させていただいている方が何度も劇場に足を運んでくださったり、周りに薦めてくださったり。皆さん制作者? と思うくらいに、作品を愛してくださったのがすごく印象的でした。私自身が初めて作品を見たときは隣の席に(原作者の)こうの史代先生が座ってらっしゃったので、正直ヒヤヒヤしっ放し(笑)。自分のアラ探しばかりしてたくさん反省をしていましたけど、こうの先生に「のんさんが、すずさんで良かった」と言っていただけので、それはうれしかったです。
――すずと、のんさんの共通点は?
「ボーッとしてる」と言われるけど、それを全く気にしてないところ(笑)。私も結構「何も考えてなさそう」と思われがちなんですが、そう言われることが嫌だなと思ってもいなくて。そこは似ていますね。
――一方で、すずは、どんなに苦しい状況でも楽しむことを忘れない女性。のんさんご自身は苦しい気持ちになったとき、どうやって乗り越えるようにしていますか?
私も創作意欲が湧いてくるタイプなんです。もちろん楽しい気持ちのときもそうなんですけど、大きく感情が動いた際は大抵、一気にダダダッて絵を描いたり洋服を作ったりしますね。ただ描くものは昔からあまり変わっていないので、ひたすら同じ感じのものを(笑)。それに作った直後はいいものができたって思うこともあるんですけど、時間が経つと何だかどうでもよくなっちゃって…。スタッフさんから止められて、しょうがないから「もうちょっとだけ捨てずに置いておこうかな」と(笑)。
――すずも絵を描くことが好きですね。
でもすずさんは日常と共に描くことがあるという感じで、逆に極限状態になるほど描かなくなるんです。そこは違う部分かもしれないですね。時代もあると思いますし、奥さんとしての務めを果たさなければと思っている。私の場合は疲れ切るまで創作をして、気付けば「おやすみ」と寝てしまいます(笑)。
――最後に、あらためてDVD化される今作の見どころを教えてください。
何度見返しても色あせない作品ですし、お家で見ることでまた違った見方ができるとも思います。メイキングやインタビューなどの特典映像などもいっぱい盛り込んだものになっていますので、ぜひ皆さんのお手元に置いていただけたらうれしいです!
のん 1993年7月13日生まれ、兵庫県出身。本作でアニメーション映画初主演を飾った。
『この世界の片隅に』
DVD/ブルーレイ 9月15日(金)発売
ブルーレイ¥9,800+税(特装限定版) ¥4,800+税(通常版)
DVD¥3,800+税
発売元:バンダイビジュアル
文◎松木智恵 写真◎藤本和史 スタイリスト◎山口絵梨沙 ヘアメーク◎森かおり(クララシステム)