ドラマ「田鎖ブラザーズ」(TBS系 毎週金曜 後10.00~10.54)の前日譚として、神奈川県警捜査一課検視室の検視官補助・桐谷千佳(内田慈)にドラマ本編から約2年前に起きた出来事を描くショートドラマ「D-day~罪が消える日~」が、ショートドラマアプリ「BUMP」で配信中。全50話で描かれた今作の撮影期間は約10日間。朝から晩までぎゅっと詰まった撮影で、各話約2分間のドラマ全50話分を撮影。各話に次につながるフックがあり、ものすごいスピード感で展開される、まさに全てが山場の作品。テンポ感を出すために通常のテレビドラマよりカットの切り替わりが多く、1日の撮影カット数は膨大だったという。「その中で常に緊張感を保っていたお2人は、本当にすごい集中力だった」と監督談。主人公・千佳を演じた内田と、千佳の家に突然押し入る謎の男・翔を演じた今江大地に、ショートドラマならではの苦労や、撮影のウラ話を聞いた。
――最初にオファーを受けたときの心境は?
内田 TBSさんが地上波のドラマと連動したショートドラマを作るのは初めてとのことだったので、その時点でまず、一緒にチャレンジができるのは楽しそうだなと思いました。かつ、桐谷千佳という役は、私と同じ“ちか”という名前で、年齢設定も実年齢とほぼ一緒で、後から分かったことなのですが神奈川県出身というのも一緒。千佳の裏設定のプロフィールを見たら、卒業した高校の場所まで一緒だったんです。なので、役に対してとても親近感が湧いた上に、この役を「田鎖ブラザーズ」で演じながら、また別の一面が見えるショートドラマで深堀りできるというのは、楽しみでしかないなと思いました。ただ、今作はずっと緊迫している状況が続くというのはオファーをいただいた段階から分かっていたので、“これは大変な撮影期間になるだろうな”という覚悟もしました。
今江 僕は単純にうれしかったですね。映像作品に向き合う機会が今まであまりなかったので、うれしいなと思いつつ、内田さんと同じように、台本を読んで“大変そうな役だな”って思っていました。僕が演じた翔という役は、初めはようしゃべるんですけど、最後のほうはあまりしゃべらず表情だけで、台本でも「……」が多かったんです。それに、後半にかけてどんどん翔の本当の部分が見えてくるので、それをどうやって表現しようかなというのは考えましたね。他にも、僕は若く見られやすいんですけど翔は実年齢よりひと回りくらい歳上の設定なのでヒゲを生やそうかなとか、ちゃんとした生活をする余裕はなさそうだからちょっと汚い感じなのかなとか、いろいろ考えて、監督さんとも相談しました。それに関しては、撮影の始めにこの役はどういう感じなのかという打ち合わせがあったので、うれしかったし、いい時間でした。撮影中も、皆さんと「もっとこういう画が欲しい」みたいなお話ができたのがすごくうれしかったですね。
――今作はTBSで放送中の「田鎖ブラザーズ」と連動した作品。両方に出演し同じ役を演じている内田さんは、どのような意識で作品に臨んだのでしょうか?
内田 「田鎖ブラザーズ」の中では、仕事をしているときの千佳しか描かれないんです。逆にこの「D-day~罪が消える日~」では、仕事している場面はなくて、彼女の生活の部分が見える。桐谷千佳という人は検視官であり、おそらく頭の回転の速い人。でもだからといってキビキビしているというような表面的なキャラクター設計はしたくないなと思いました。人と目を合わせるのが苦手で一見クールな染谷さん演じる稔といいバディを組んでいる彼女は、柔らかい空気を纏っているのではないか?と。一方で、『D-day』では事件の真相に迫るために状況や相手によって接し方を変えられる引き出しを持っていることが見えてくる。2つの作品において桐谷千佳を演じる上で、表面に出るキャラクターを同じにしようということではなく、内面において1人の人物に見える多面性みたいなものを考えながら演じました。そこを楽しんでいただけたらなと思います。


――初共演のお互いの印象は?
内田 最初はちょっと、“話し掛けてもいいのかな?”みたいな…。
今江 アハハ!
内田 そういうオーラを出している方なんじゃないかなと思って。
今江 人見知りなんですよ。
内田 でも芝居は信頼し合わないとできないものなので、芝居をやっていると、1つのシーンを一緒にやったら急に打ち解けていたりすることがよくあるんですよ。今回もまさにそれで、突然チョケ出したので、“この人はこっちか!”みたいな。
今江 ご迷惑をおかけしました!
内田 リハーサルのときにそれが分かったのでよかったです。逆に本番に入ってからは、ずっと緊迫しているシーンでギリギリまでおしゃべりをしていたら絶対に自分が困ることになるから、あまりお話ししないようにしようと思って。撮影期間中は距離を置くようにしていました(笑)。
今江 最初からいきなりナイフを突きつけるシーンですもんね。
内田 ほとんどずっとそうですから。なので、“この人に心を許したらいけない”と、あえて距離を置いていました。
――そういう意味では、今江さんが話し掛けにくいオーラでよかった?
今江 初めだけはね(笑)。話し掛けにくいとは、よく言われます。舞台でも、最初の顔合わせのときは誰ともしゃべらないし、基本は人と関わらないほうなので。“無理にかかわらなくてもいいや”って思っているタイプなんです。でも、確かにお芝居をしていると、例えケンカしている役同士だったとしても、内側の信頼関係が芝居に出るんですよ。やっぱり、芝居ってコミュニケーションなので。
内田 今江くんは多分、本番直前まで笑っていたりしても大丈夫なタイプですよね?
今江 大丈夫です。
内田 私は一回集中を切ると立て直しに時間がかかるタイプで。だから、“この人は近くに置いちゃいかん!”と思って(笑)。俳優もタイプはいろいろですからね。
今江 僕は、「よーい、始め!」の一瞬の間に“フーッ”と集中できたら、イケますね。今回の撮影も、途中からは結構楽しんでいた部分が大きいです。確かにしんどいシーンが多かったし、朝から夜まで撮影で、朝に部屋を暗くして夜のシーンを撮影したり、逆に夜なのに朝のシーンを撮影したりしていたから時間の感覚が分からなくなって、外に出たら“えっ、今こんな時間だったんだ!?”みたいな大変さもありました。僕は別の舞台の稽古をしながらの撮影でもあったので。だけど、ずっと楽しかったですね。で、内田さんの印象ですよね? 全然違う話になっちゃってすみません! 内田さんは、一貫して真面目な方だなと思いました。あと、本当に芝居がやりやすい。ずっと救われていました。
――共演した黒木瞳さん、神保悟志さんの印象は?
内田 黒木さんは本当にお美しくて、黒木さんが演じたマリエという役が象徴する色があるんですけど、その色が本当にお似合いで。千佳はマリエに救われたり憧れたり、彼女に大きく支えられている部分があるのですが、そういう憧れの存在としてピッタリでした。神保さんは本当に器の広い方で、お優しくて、ご本人の優しさが役に乗ることによって役の悲しさが増して見えるところがあるんです。私は、神保さんを見ているだけでボロボロ泣いてしまったりもして。いろいろな感情を湧き起こさせてくれる、すごい俳優さんだなと思いました。
今江 僕は皆さん「はじめまして」だったんですけど、黒木さんは内田さんもおっしゃったように本当にお綺麗な方でした。ただ、やっぱり“レジェンド”なので初めはちょっと怖くて、粗相をしないように、とりあえず真面目に。盗めるところがあったら盗ませていただきつつ、邪魔にならないように後ろに控えておこうという感じでいたんです。でも、黒木さんが豆大福を差し入れしてくださって、僕は和菓子が好きなんですけど、その豆大福が初めて見る大きさで! 後日お会いできたときに「すっごく大きい豆大福、めっちゃおいしかったです!」ってお伝えしたら笑ってくれて、「あれ、大きいよね」って普通に話してくださって。お話ししてみたらとても気さくな方で、笑顔がめっちゃかわいらしいんですよね。スタッフの皆さんとも、「なんであんなにかわいいんやろう?」って話していました。
内田 その話に1つ挟んでいいですか? 別の取材で撮影中においしかった食べ物の話題になったときに、その豆大福エピソードが出てきたんですけど、今江さんってラーメンがお好きなんですよね?
今江 ラーメン、好きです。
内田 それで制作部の皆さんが考えて、今江さんのためにラーメンを用意してくれたんですよ。
今江 最終日に、ラーメン屋さんを撮影現場に呼んでくれて!
内田 だから絶対に「ラーメン」って答えるだろうと思ったら、黒木さんの大きな豆大福の話だったんです(笑)。
今江 ラーメンは、ほんまにめっちゃおいしかったんですよ! でも、あんなにデッカイ豆大福があるんやって、ビックリして。豆大福って、ひと口でいただけるくらいのイメージやったんだけど、それは全然ムリで! 4口くらいやった。
内田 それでもすごいよ! かなり大きかったから。
今江 超大きいんです。ほんまに!
内田 ちなみに、神保さんも豆大福を手に取っていました。
今江 でもラーメンもほんまにおいしかったです。僕、替え玉しましたもん! 体に染みました。僕がラーメンが好きっていうのを知って用意してくださって、その前日も「明日いいことあるよ?」ってスタッフさんからの事前予告があったりして(笑)。すごくうれしかったです。
――今江さんから見た神保さんの印象は?
今江 神保さんとも初共演で、僕は人見知りであまり自分から話せないから、待機場所で一緒におったときも、最初は対面に座ったままずっと黙ってたんですよ。それでどうしようと思ったら、神保さんから話し掛けてくれて、いろいろな話題を振ってくださって。そこから打ち解けて、結構お話しするようになりましたね。カッコいい方で、まとっている雰囲気がズルいなって思いました。何か盗めるものがあったら絶対に盗んでやろうという思いでずっと拝見していたんですけど、立ってる姿も、表情も、雰囲気が全てカッコよくて、“ああなりたいな”って本気で思いました。それと、神保さんは割と「よーい、スタート!」の直前まで普通に話すタイプの方で、ずっと笑ってました。
――役柄はかなりシリアスですよね?
今江 だけど、ずっと笑ってましたね。すごく楽しかったです! 僕は人から「変だね」って言われることが多くて、「あっ、君はそっちタイプなんだ!?」って会ってしばらくしてから気付かれるんですけど、神保さんも、僕は普通に過ごしているのに僕を見てよう笑ってはって。「君、そっちタイプなんだ?」って言われて。それで、ずっと笑っていらっしゃいました。
――「そっちタイプ」の意味はどう解釈したのですか?
今江 よく分かってはいないですけど、多分、いろいろと抜けてるんですよ。撮影中、車の中で服を着替えることがあって神保さんが目の前におるところで着替えていたら、「ここで着替えるのか」って言われたり。よく笑う方だなっていうイメージですね。













