7月東京、8月大阪でジェレミー・O・ハリス作、小川絵梨子演出、中山優馬主演の舞台『ダディ』の日本語版初上演が決定した。
今最も注目される米国演劇界の新星ハリス。昨年開催された第74回トニー賞で、ストレートプレイでは最多となる12部門にノミネートされた舞台『Slave Play』が大きな話題となり、その脚本を手掛けたハリスは米国の演劇界で一躍脚光を浴びる存在となった。
本作『ダディ』は『Slave Play』以前に書かれた作品で、2019年に映画『チョコレート・ドーナツ』などでも著名なアラン・カミングら米国の実力派俳優陣がそろい、オフ・ブロードウェーのビンヤード劇場で初演。人種、セクシュアリティ、家族、格差社会、モラル、アイデンティティーといったテーマをリアルな会話で鋭く描き、大胆で刺激的な内容が非常に魅力的だと話題沸騰。コロナ禍で延期していたロンドンでの初上演も間もなく開幕を迎えることとなり、遂に日本での待望の初演となる。
日本語版の演出は、海外作品の翻訳から演出まで手掛け、その精緻な演出に定評のある新国立劇場芸術監督の小川絵梨子が手掛ける。
キャストには、主人公のアフリカ系アメリカ人のアーティストであるフランクリン役に、数々の話題作で幅広い役柄をこなし、近年では『ゲルニカ』『偽義経冥界歌』などでの好演が光る中山優馬。小川演出作品には初参加となる。フランクリンのパトロンで年上の美術コレクターのアンドレ役に、文学座出身で実力派ベテラン俳優の大場泰正。フランクリンの友人であり青年俳優のマックス役には『リチャード二世』の名演、『両国花錦闘士』での主役抜てきで一躍注目された原嘉孝。『バレンタイン・ブルー』での主演、『ネバー・ザ・シナー』での好演も高く評価される前島亜美がSNSインフルエンサーのベラミー役を、長野里美がフランクリンの才能を見出すアートディーラーのアレッシア役を演じるほか、谷口あかり、菜々香が参加する。さらに演技派の神野三鈴が、敬虔(けいけん)なクリスチャンで気難しいフランクリンの母親・ゾラ役に決まった。
小川演出とこの実力派俳優陣の組み合わせで、今最も先鋭的と言われるハリスの劇作をどのように構築していくのか。乞う、ご期待!
[中山優馬コメント]
非常に繊細な作品だと思います。いろいろな刺激に満ちあふれた作品で、今まで自分が体験したことないであろう世界に出会える気がしています。この作品が皆さまに届く頃には、小川絵梨子さんの演出の下、どんな自分に出会えるのか、どんな作品になるのか? 今からとても楽しみです。コロナウイルスが引き続き猛威を振るう中、万全の対策の下、稽古に励みたいと思います。ぜひ劇場で見届けてください。
[原嘉孝コメント]
人種差別、セクシュアリティ、政治が生む人間ドラマを生々しく、よりリアルに表現でき、お客さんにお届けできるのがこの舞台の素晴らしさの一つだと思います。そんな作品が、ニューヨークのオフ・ブロードウェーから日本にも上陸しましたよ! 今から稽古場がすごく楽しみです! ぜひ劇場へお越しください!
公演は7月9日(土)~27日(水)まで東京・東京グローブ座、8月5日(金)~7日(日)まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて。