NEWSの加藤シゲアキの長編小説「オルタネート」(新潮社)が第164回直木賞の候補作に選ばれた。
加藤は「作家にとって憧れの賞なので、いつかは候補になってみたいと思っていたが、今作でなれると思っていなかったので、本当にびっくりです。ジャニーズ事務所のタレントだから本を出させてもらっているという引け目というか、文学界や小説界にお邪魔しているという感覚があったので、ちゃんと作家と名乗っていいのかどうかという迷いがずっとあった。直木賞の候補になっただけでも、多少は認めていただけたのかなと思っています」と今回の候補作に選ばれた喜びを語った。
その候補作は、架空の高校生限定マッチングアプリを通して描かれる青春群像劇。「30歳を過ぎた今だからこそ、高校生を書くには近すぎず、遠すぎず、今が一番いいと思った。バラエティー番組のマッチングアプリの是非を討論する番組に出演していて、かなり白熱した議論を目撃して、これは何か物語が生まれるんじゃないかと思った」と、マッチングアプリを題材にしたきっかけを話していた。
「受賞できる自信はないが、作品に対してはすごく自信がある。特に、この作品には若い読者に本の楽しさを初めて実感してもらえたらという気持ちが強くあった。とにかく面白い本を読んでもらい、気づいたら読む前と後で少し景色が変わって見える、そういった作品になるよう心がけた」と語った。
今回の直木賞は25年ぶりに全員が初候補。選考会は来年1月20日に東京都内で開かれる。「今までは、いち読者として選考を予想したりしていたが、まさか自分が予想される側になるとは思っていなかった。考えれば考えるほど、ドキドキするし、選考委員の方々の厳しい目も知っているつもり。ここまで来られただけでも十分かなと思うし、(結果が出るまでの日々を)本当に淡々と過ごしたい」と話した。