2019年3月に愛媛の内子座で一日だけ上演された作品が復活する。M&Oplaysプロデュース『あんまと泥棒』。11月に本多劇場にて上演することが決定した。
『あんまと泥棒』は、業突く張りな目が不自由なマッサージ師と、マッサージ師の元に忍び込んだ人のいい泥棒による人情喜劇で、1951年にNHKのラジオドラマとして放送されたのち、故中村勘三郎たっての希望で1966年に舞台化された。これを2019年に気鋭の劇作家・演出家の倉持裕が脚色・再構築し、南原清隆、近藤芳正という豪華な顔合わせで、一日限り2回公演として愛媛県の伝統ある劇場・内子座にて上演した。
近藤演じる泥棒稼業に身をやつしているが実は気のいい泥棒・権太郎と、南原演じるマッサージ師の仕事の裏で高利貸を営み小金を貯め込んでいるらしいしたたかな秀の市。マッサージ師と泥棒二人の軽妙な会話のやりとりが、日本の伝統的な芸術の歌舞伎や狂言にも通じる空気を生み出し、さらに倉持の笑いのセンスを加味した現代的な演出で、どの時代にも通じる普遍的な喜劇としてよみがえった。幻ともいわれる二人芝居が倉持による脚色・演出、出演に南原と近藤という、同じ顔合わせで登場。コロナ禍の中、人々の疲れた気持ちを解きほぐす温かい笑いを届ける。公演は11月27日(金)~29日(日)まで東京・本多劇場にて。
[南原清隆 コメント]
ここ10数年、舞台で狂言や落語をする機会はあったのですが、時代劇はなく、ずっとやりたかったので、近藤芳正さんからお声をかけて頂いた時は、とてもうれしかったです。歌舞伎の演目にもなっているお話で、とにかく人間臭く愛すべきキャラクターのマッサージ師と泥棒の二人。本音とうそ、笑顔と泣き顔、おとぼけと怒り、見えるものと見えないものが織り成すお笑いと人情溢れるお芝居です。若手の時に立った思い入れのある本多劇場で江戸情緒を味わっていただけたら幸いです。
[近藤芳正 コメント]
内子座でたった一日の2ステージだけという幻のような公演体験をさせていただきました。なので、どこかでまたやりたいなぁと思っていました。それが東京の芝居小屋、本多劇場でやれることに。コロナがなければ実現しなかった企画です。意気込み満載です。ただ意気込み過ぎると空回りするタイプだということは分かっているので、まぁ適当に、イイ加減で。お客様も、適度にイイ加減で、見に来ていただけたら!