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尾野真千子インタビュー「私だったら、思い出を振り返る旅行なんてしません」

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WOWOW、TBS、テレビ東京の3局横断による、Paraviオリジナルドラマ「tourist ツーリスト」。WOWOWでは、10月7日(日)深0.30分から「ホーチミン篇」を無料放送する。ヒロイン・立花カオルを演じた尾野真千子に、作品について話を聞いた。

 

カオルは、悲劇のヒロインぶりたがる女性なんです」

――演じるカオルの印象をお聞かせください。

私は、この人のことは好きじゃないなと思いました(笑)。だって、すぐに悲劇のヒロインぶるから。私は、悲劇のヒロインにはなりたくない。だから、演じるにあたってもカオルのことを理解しようという気持ちはありませんでした。私にとって、役は役。決して立花カオルは尾野真千子じゃない。無理に理解しようとするんじゃなく、ホーチミンの空気を吸って、食べ物を食べて、スタッフやキャストのみんなとコミュニケーションをとって、そうやっていろんなものを吸収しながら、最終的に監督の「スタート」がかかった瞬間、立花カオルとして生きることができればいいなって。そんな気持ちで撮影に臨みました。

――三浦春馬さんとは初共演ですが、印象は?

目がすごく印象的でした。と言うのも、現場にいる時、いつも目がすごく動いているんですよ。きっと周りの動きとか、いろんなことを見ようとしていたんだと思います。うまく言葉にできないんですけど、一生懸命そこにいることを伝えているような、そういう空気感が三浦さんにはあって。一緒にお芝居させていただけて、すごく楽しかったです。

――夫役はバカリズムさんです。

バカリズムさんは、こちらが何かを投げ掛けたら、必ず返してくれる方。それも、ちゃんとお話に沿った、役の心情を乗せた返しをしてくれるので、すごくやりやすかったです。俳優とお笑いの方では畑が違うので、撮影に入る前は私も多少の不安がありましたけど、お芝居を重ねていくたびに、どんどん面白いものが生まれていきました。

――そして、夫の愛人役で成海璃子さんも出演されます。

成海さんは目線や間合いのとり方が独特で。今回も、そんな彼女の独特な空気がよく出ていて。私はそれを心地良く見ながらお芝居をさせていただきました。

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「クラブで踊るシーンは、ずっと心が揺さぶられていた」

――横尾初喜監督とも初めてですよね。

そうですね。普段、監督がどういうスタイルでやっていらっしゃるのかはわからないんですけど、今回に関して言えば結構まめにコミュニケーションをとりながら撮影を進められたんじゃないかなと思います。台本の内容についても、もし本当に自分だったらって置き換えて、実際に起きたことのようにあれこれ話をしたり。

――今回は長回しも多く、ドキュメンタリーのような撮影スタイルだったと聞いています。

長回しって、演じる側としてはすごく気持ちがいいものなんですね。もちろん台詞をとちったらどうしようとか大変なことはあるんですけど、細かくカットを割らない分、今こうしてお話ししているみたいに、自分の中で考えながら台詞を話せる。監督のおかげで、今回はそういう醍醐味を感じながらお芝居ができました。

――演じていて、特に心が揺さぶられたシーンはありますか?

クラブで踊っているシーンは結構自分の中で揺さぶられましたね。見ず知らずの人と踊って、いい気分になって、あわよくばこの人と一夜の何かがあるかもしれない。その感情が、果たして自分がおかしくなっているからなのか、それとも新しい一歩を踏み出そうとしているからなのか。私自身も迷いながら演じていたので、あそこは結構揺さぶられていました。

 

「自己満足でしかないけど、その自己満足がカオルには必要だった」

――カオルは、夫と離婚調停中です。お話だけ見ていると、高圧的なところがあったり、決していい印象には見えない夫ですが、カオルはどんなところが好きだったと思いますか?

たぶん付き合っている時は楽しかったんだと思いますよ。いるじゃないですか、別れた途端、嫌な思い出しか出てこないタイプの人って。カオルの夫は、完全にそのパターン(笑)。別れても美しい思い出が残る人もいるけど、そういうタイプじゃない。思い出せば思い出すほど悪口しか出てこなくて、何で好きだったんだろうって思うタイプの人ですね(笑)。

――それなのにカオルが執着してしまうのは、まだどこかで思いが残っているから?

たぶん好きだった時は嫌なところも全部許せたんだと思います。でも、結婚して、お互いが自分のものになった途端、ムカつくところが増えてきてしまった。だから離婚という道を選んだんだと思います。それなのに、いざホーチミンに行ってみたら、いろんないい思い出がよみがえってきて、それで感傷的になっちゃったんじゃないかなって。

――尾野さんは、そういう未練とはすっぱり決別できるタイプですか?

すぐ決別します(笑)。だから思い出を振り返る旅行なんて絶対にしない。もし付き合っていた人との思い出が詰まった土地に行かなきゃいけないことになったら、絶対に楽しい思い出をいっぱいつくって、全部塗り替えてくるでしょうね(笑)。

――そう考えると、このホーチミンの旅は、カオルにとってどんなものだったんでしょうね。

率直に言えば、自己満足でしかないと思います。でも、人生において自己満足ってすごく大事。彼女が新しい道を踏み出すためには、この自己満足が必要だった。そう考えています。

 

「私の旅の思い出は、イタリアで聞いた12時の鐘の音」

――ロケ地となったホーチミンについてのお話も聞かせてください。

現場を手伝ってくださった現地のスタッフの方がいたんですけど、皆さんすごく優しくて。こちらに対する気遣いの一つ一つに優しさがにじみ出ているというか。私もこんなふうに優しくなれたらなと思うぐらい、みんないい人でした。

――特に印象的な現地の思い出は?

もうクラクションがすごくて。昼夜問わず、「何かしましたか?」っていうぐらい、ずっと鳴ってるんですよ(笑)。でもだからと言って撮影を止めるわけにはいかないし。日本では考えられない量のクラクションが鳴っている中でお芝居をするというのは、何だか新鮮でおもしろかったです(笑)。

――やはり日本と海外では違いを感じますか?

すべてが違いますね。言葉も通じませんし、飲み物も食べ物もみんな違う。その中でお芝居をするわけですから、お芝居だって変わってきます。だから、今回はとにかくこのホーチミンの空気とか風とか街とか人とかをちゃんと感じてお芝居をしようって、そのことを一番に心掛けていました。

――では、最後に尾野さんご自身の思い出深い旅のお話を聞かせてください。

私、初めての海外がイタリアなんです。トリノ映画祭に参加するために現地へ行って、それが初の海外。それまでずっと英語もできないし、言葉も通じないから、日本から出るのが嫌で、海外に興味を持ったことがなかったんですよ。

――初めての海外が、その苦手意識を変えたんですね。

現地でマネージャーと一緒に御飯を食べていた時のことなんですけど。12時になるのと同時に街中に鐘の音が鳴り響いて。ただそれだけなんですけど、街の雰囲気にもぴったりで、すごくすてきに思えたんです。そこからいろんな文化を見たいなと思うようになって、海外にも興味を持ち始めるようになりました。今でも気が向いた時にぷらっと行くぐらいで、旅にそこまで関心がある方ではないんですけど、私の中で思い出の旅といえば、イタリアのあの鐘の音を思い出しますね。

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WOWOW・TBS・テレビ東京 3局横断 Paraviオリジナルドラマ「tourist」

第3話ホーチミン篇

WOWOWプライム 10月7日(日)深0.30~1.30 ※無料放送

写真提供:Paravi

 

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